【釜本邦茂】レアル入りが決まった久保の進化に期待! W杯予選へ五輪世代の突き上げが楽しみだ

2019年06月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

チリ戦大敗からの立て直しは、大会中もしっかり経験を積めたということ

南米の強豪相手にも存在感を放った久保。入団が決まったレアル・マドリーで、さらなる進化が期待される。(C) Getty Images

 コパ・アメリカのエクアドル戦は残念な結果に終わったね。1対1の引き分けに終わって、グループリーグを勝ち抜くことができなかった。南米の強豪3か国を相手に、最後まで食い下がったという意味ではよくやったと言えるかもしれないが、冷静に見れば世界との差を痛感させられたよ。

 
 もちろん、若い選手たちが随所に自分たちの個性を発揮して、スタンドを沸かせていた。中島や久保の個人技は言うまでもなく、相手も警戒するほどのレベルだったし、上田は幾度となく決定的なチャンスに絡んでいた。第3戦では前田もスピードを活かした抜け出しだけでなく、ファーストディフェンダーとしても有効に機能していた。とにかく南米のA代表相手にもやれるところを見せてくれたのは収穫と言える。
 
 とはいえ、グループリーグを勝ち抜けなかったのは、それなりの理由があったからに他ならない。その筆頭に挙げられるのが、やはり決定力の欠如だ。日本はチャンスを作り出す力はあったが、それをゴールへ決め切る力強さに欠けていた。
 
 当然、今までプレーしていた環境とは異なるプレッシャーの強さ、速さがあるだろうから、シュートの場面で慌ててしまうのもよく分かる。トラップした時に自分の一番良い形に持っていく、ファーストタッチで最もシュートを打ちやすい、ベストポジションにボールを置くという基本ができていなかった。
 
 強豪国との差は、明らかな違いが見えた"フィジカル"の差と言ってしまえば簡単だが、やはりこのレベルの戦いに慣れているかどうかも大きいのだと思う。大会を振り返れば、初戦のチリ戦で4失点の大敗を喫した日本だが、その後のウルグアイ戦ではディフェンス陣も安定したし、采配も含めてうまく立て直した。試合をこなすごとに良くなっていったのは好材料であるし、大会中もしっかり経験を積めたということだろう。
 
 やはり経験の差は大きい。日本で言えば、今年は久保建英がJリーグでブレイクし、レアル・マドリーに移籍するが、彼もデビュー当初はなかなかチームの戦術にフィットしなかったり、そのテクニックを試合で生かし切れなかったりしていた。だが、徐々に試合を重ねるにつれて能力を発揮するようになり、今季は開幕からずっと使われ続けて、立て続けにゴールを生み出すようになった。さて、これからという時に日本を離れてしまうのは惜しいが、やはり経験やより高いレベルへの適応というものがいかに大事かということだね。

次ページ久保はまだまだ進化の余地を残している

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