【三浦泰年の情熱地泰】コパ・アメリカ編|日本にクラッキはいない! ブラジルのメディアは褒めてくれるが…

2019年06月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

ブラジル人の友人は言った「日本はガッハが足りない」

エクアドル戦では再三好機を作り出した久保だが、得点には至らず。さらなる成長・進化の余地を残した選手であることは間違いない。(C)Getty Images

 日本には「クラッキ」(Craque)はいない。「Craque」とはポルトガル語の直訳で「天才」のことを指す。
 
 僕が留学していた頃に周りが抑えることが出来ない選手、人と違うことを考え実行できる選手、アイデアとイマジネーションを持ちサッカーの魅力を個人の力で証明できる選手のことを言った。
 
 僕は日本代表のエクアドル戦を観戦して、ピッチに立つ22人からクラッキはひとりもいないと感じた。これがゲームを観ての最初の印象だ。
 
 誰ひとり世界で通用するクラッキはいない。だから、もっと努力してもっと謙虚にサッカーに取り組む必要があり、もっと周りが厳しく選手を指導しなければならない。
 
 だがクラッキにはなれなくても世界で戦える選手にはなれるはずだ。そんな才能のある良い選手が日本にいることが、南米から世界(ヨーロッパ)にも証明できた3試合だったと思う。
 
 単純に、その将来が楽しみに思った選手は富安健洋と板倉滉だ。そして柴崎には、今以上のさらなる伸びしろを感じた。
 
 ブラジルのインターネットサイトで2戦目のベスト11が載っていた。富安と三好康児が入り、監督には森保一監督が選ばれていた。最優秀監督に森保、アジアのセンターバックが11人に入ったのである。
 
 ただこの3戦目のエクアドル戦のチームとしてのパフォーマンス、ゲーム内容は低かったと思うし、そう言われても仕方がないものであった。
 
 2戦までにお互いが不甲斐ない試合をした。日本は初戦でチリを相手に0-4というグループを勝ち抜くには、絶対に犯してはいけない大量失点の敗戦。一方のエクアドルは2連敗で勝点0となっていた。
 
 ワールドカップのレギュレーションであれば、エクアドルは敗退、日本もほぼ敗退が濃厚である。それが他グループも含めて、どちらかが勝利でグループリーグ突破ができるという試合。そんなお互いにとってモチベーションがある試合で……。
 
 僕のブラジルの友人は「ガッハ」(garra)が足りないと言った。ガッハとは、簡単に言えば気合い、根性が足りないという事だ。
 
 最後、引き分けで終わればグループステージ突破はないのに誰一人、身体全体を使って鼓舞している選手が日本にはいなかったと言っていた。
 
 もちろん僕も同感だが、日本人の仲間がそれは今の時代、スマホを見る時間が長くなって、人とのコミュニケーションがあまり必要がなく、また、その方が良いと思う世代に、大事な1点が欲しい状況のなかで、そのような気持ちを全身で出せる奴は少ないのでは……と言う。ただし、それはエクアドルも同じであり、しっかり気持ちを表現していたのは、エクアドルの3番、センターバックのアルボレダと、日本の富安だけだったと……つぶやいていた。
 
 自分の役割を自分の特徴を出すためにプレーは出来るが、仲間の力を引き出し自身も勝利のために何かをやろうとする。そんな姿勢を感じさせる選手は両チーム共に足りない(いない)からお互いチャンスを逃し続けた。
 
 そしてテレビで試合を見ながら他力を祈ったパラグアイがブラジルと対戦する挑戦権をゲットすることになってしまった。戦術もプレーの精度もそれほど高くないエクアドルに対して、日本代表はもったいない試合をして引き分けてしまい、大きな経験ができる試合(ブラジル戦)を逃してしまった。

次ページブラジルのメディアはきっと明日も久保や三好、中島を褒めてくれるのだろう。

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