【三浦泰年の情熱地泰】コパ・アメリカ編|南米勢以上に南米らしい!? カタールの勝利への執念は驚き!

2019年06月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

恥をかいても、格好が悪くても、というサッカーで90分間戦い抜いたカタール

主審に詰め寄り、猛抗議するカタールの選手たち。勝利への執念を見せた。(C) Getty Images

「レフェリーに文句を言ってはいけない」
 
 カタールvsコロンビアで、この言葉を思い出した。
少年(小学生)を試合に臨ませる時に必ず言うことだ。2万人以上のサポーターが集まったモルンビーで文句の言わない選手はいなかった。
 
 カタールの本気度にはびっくりした。中2日でウルグアイ戦を迎える日本代表が準備をする日、同じ招待国として出場しているカタールが、アルゼンチン代表に2−0で勝ったコロンビアを相手に、後半残り数分までスコアレスという状況へ追い込んでいた。
 
 彼らは南米という地で何がなんでも勝点を取るという姿勢を試合終了まで貫いた。正直、それは醜い態度でもあり、レフェリーにひつこく抗議をしたり、判定一つひとつに反応、「文句」を繰り返す。
 
 システムも5−3−2と背後にスペースを空けない。攻撃はカウンター狙いのシンプルな戦術だった。1−0で終了の笛が鳴った瞬間もコロンビアの選手に詰め寄り乱闘になりかける。コロンビアの選手が握手で和解しようとしたが振り払った。醜い態度だ。勝つためには(勝点を取るためには)格好など気にしない。恥をかいても、格好が悪くてもというサッカーで、90分間戦い抜いた。
 
 このカタールに僕は共感する部分と批判的に思う部分のふたつの気持ちを抱きながら見ていた。単なる「コパ・アメリカを楽しむサポーター目線」と「サッカーの現場を貫いた選手と監督目線」。前者であればカタールは好きになれない。
 
 後者であれば、力の差は明らかな展開を、勝点を取れるかもしれないゲーム展開にしたことや何がなんでも勝ちたいという「アガキ」を感じるファイティング・スピリットは現場目線で言えば真実であり、サッカーの必要な要素だ。
 
 数時間後に始まるウルグアイ代表戦では、チリに完敗した日本代表がどんな「アガキ」が出来るかが注目される。どこまでの必死さを表現し、何がなんでも勝点を奪うという気持ちが表現できるか?
 
 日本の敗戦とカタールの敗戦の違い。僕は、サッカーの魅力への追求は日本側に分があると思う。 カタールとは比べ物にならないであろう。
 
 しかし勝ちへの執念や汚さ、泥臭ささ、したたかさはカタールの方が数段上だ。アジア人として誇りに思うほどだ。

次ページときには「サッカーは戦争だ」という人もいる。

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