「私には不思議で仕方がない」チリに大敗した日本代表の戦いぶりを、英国人記者はどう見たか。

2019年06月19日 スティーブ・マッケンジー

「チリ戦の戦いぶりに感銘を受けた」

前回王者チリに挑んだ先発メンバーたち。後半は岡崎慎司のほか、安部裕葵、三好康児という若いメンバーが交代出場し、果敢に攻め入る姿を見せた。 (C) REUTERS/AFLO

 クラブや選手たちはこの夏の期間に休む必要があると訴えているなか、今年も多くの公式戦が行なわれている。コパ・アメリカ、アフリカ・ネーションズカップ、トゥーロン国際大会、U-21欧州選手権、ゴールドカップ、そして女子ワールドカップが開催中もしくはこれから開幕する。

 これによって、私が住むイギリスではテレビのチャンネルが各大会の争奪戦となり、コパ・アメリカの日本対チリをライブで観ることは叶わなかったため、翌日に試合を観た。事前にチリが4-0で勝利したという結果は知っていた。だから、私は心の準備をしていた。日本代表が徹底的にチリにゲームを支配され、ひどくやり込められる姿を見なければならないと。

 ところが、その懸念は杞憂に終わった。私は日本のパフォーマンスに非常に感銘を受けた。たしかに、4失点を喫して敗北した。けれど私はこの目で、日本がチリという強豪を相手に臆することなく、果敢に戦う姿を見ることができたのだ。

 先発メンバーが平均年齢21.4歳という非常に若いチームは、南米で最も経験豊富なチームのひとつであり、前回大会王者であるチリに対し、多くのチャンスを生み出していた。日本の選手たちは相手を恐れていなかった。自由に楽しんでいるようにさえ見えた。

 その証拠に日本は、チリよりもずっと魅力的なサッカーをしていた。何度でもいうが、彼らは負けた。しかし、その敗北よりもずっと貴重なことを、この大舞台でプレーすることで学んだに違いないのだ。

 久保建英という選手をきちんと目にする初めての機会でもあった。彼は最後まで決して下を向くことなく、チームメートとともに自信を持ってプレーしていた。その姿は可能性に満ちており、とても印象に残った。

 ここ数週間以内に私は日本に行く計画を立てていて、FC東京の試合を観る予定も組み込んでいたが、レアル・マドリーへの移籍が発表されたいま、彼を間近に見る機会を逸した。そのことは残念に思っている。

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