リーグカップ4回戦で出番なし 吉田麻也の苦しい現状が浮き彫りに

2014年10月30日 田嶋コウスケ

怪我から復帰後、公式戦3試合連続ベンチスタート。

ストークとのリーグカップ4回戦で出番がなかった吉田。苦しい状況に置かれている。 (C) Getty Images

「リーグカップとはいえ、メンバーはあまり変えない。先発を入れ替えるとしても数名に留めるだろう。そもそも、多くを変える必要があるのか」
 
 ストーク・シティと対戦するリーグカップ4回戦に向けての記者会見で、サウサンプトンのロナルド・クーマン監督は選手起用についてこう話した。6勝1分け2敗でプレミアリーグの2位を快走する勢いを駆って、アーセナルを撃破して4回戦に進んだこのリーグカップは「タイトルを狙う」と宣言したクーマン監督は、FWグラツィアーノ・ペッレ、MFドゥサン・タディッチ、DFジョゼ・フォンテという攻守の主力をはじめ、ほぼベストのメンバーをストーク戦のピッチに送り出した。
 
 そのスタメンに、吉田麻也の名前はなかった。足首の怪我から復帰後、これで公式戦3試合連続のベンチスタートとなった。
 
 サウサンプトンが好調を維持している理由のひとつが、ディフェンス陣の安定にある。イングランド代表のGKフレイザー・フォースターの前を、CBのフォンテとトビー・アルデルワイレルドが固める守備ユニットは堅牢を誇り、9節を終えたプレミアでの失点はわずか5。リーグでもっとも少なく、1試合平均1点以下に抑えているのは、サウサンプトンだけだ。
 
 その守備陣のなかでも、クーマン監督がとくに厚い信頼を寄せているのが守護神フォースターと主将フォンテで、この2人は開幕から全試合先発フル出場を続けている。
 
 この試合に懸ける吉田の意気込みは、強かったに違いない。マウリシオ・ポチェティーノ(現トッテナム監督)が率いた昨シーズンも、リーグ戦ではなかなか出場機会を得られず、リーグカップやFAカップが主戦場となっていた。それでも、吉田は「カップ戦は本当に大事」と語り、アピールの場、そしてマッチフィットネスを維持する場として、前向きにカップ戦に取り組んでいた。
 
 しかし、ストーク戦で吉田にチャンスは与えられなかった。クーマン監督はアルデルワイレルドを温存したが、代わりに起用したのはフロリン・ガルドスだった。開幕から3試合連続で先発フル出場を果たすなど、シーズン序盤は吉田がCBの序列の上にいた。それが今は入れ替わりつつある。
 
 結局、ストーク戦は吉田に途中出場の声もかからず、ベンチで試合終了のホイッスルを聞いた。3-2でリードした後半ロスタイムの選手交代で起用されたのも、吉田ではなくアルデルワイレルドだった。クーマン監督の信頼をつかみきれていない吉田の苦しい現状を浮き彫りにする采配だった。
 
 試合後の取材エリアで吉田は次のように話した。
「(出番がなかったのは)まあ残念です。もちろん、試合への準備はしてきたし、チャンスはもらえると思っていた。でも、仕方ない。監督が使わないということは、信頼を得られていないということだと思うので、アピールを続けるしかないですね」
 
 リーグカップ5回戦は12月中旬。対戦相手は、実質3部のシェフィールド・ユナイテッドに決まった。はたして、吉田のアピールはクーマン監督に届くのだろうか。
 
取材・文:田嶋康輔
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