数日間の修正で激変した「森保流3バック」。エルサルバドル戦が基準になれば"二兎を追う"価値はある

2019年06月10日 佐藤俊

永井の2ゴールにつながるパスを出したのは、センターバックのふたりだった

冨安は森保監督の要求を確実にこなした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 エルサルバドル戦は森保一監督が理想とする「3バック」の形が明確に見えた試合になった。トリニダード・トバコ戦は25本シュートを打って得点ゼロ。大迫勇也と堂安律、中島翔哉の距離が遠く、連係して打開するシーンが少なく、ウィングバックに入った長友佑都、酒井宏樹が低いポジションを取っていたため、本来の良さである攻撃力がもうひとつ発揮できなかった。

 エルサルバドル戦では本職ではない原口元気が左ウイングバック、伊東純也が右ウイングバックに入り、シャドーと同ポジションの高い位置を取っていた。相手が4バックだったので、ピッチ上では5対4という数的優位が展開されており、原口、伊東ともに前を向いてボールを受けることが多く、ドリブルで仕掛けたり、クロスを入れたり、ウイングバックとして必要とされるプレーを見せていた。その姿は躍動感にあふれ、かつて広島が3連覇を達成した時に活躍したミキッチのようだった。
 
 守備では高い位置にいるのでボールを奪われてもすぐにアプローチして奪い返し、ショートカウンターを展開し、相手にボールを保持された時は素早く自陣に戻るなど、攻守に激しいアップ&ダウンを繰り返していた。ベンチにいた選手たちは「こんな感じか」とウイングバックとして求められるプレーを把握できたはずだ。

 試合は、永井謙祐が2ゴールを挙げたが、そのゴールにつながるパスを出したのは、冨安健洋、畠中槙之介のセンターバックだった。
 
 冨安は昨年、森保監督にA代表に抜擢された時、「監督が求めている縦パスをどれだけ自分から出せるかが重要。一番奥(FW)にパスを入れるのがベスト」と語っていた。その際は4バックだったが、今回3バックでも同じ要求をされているということは、システムに関係なく求められるプレーは同じだということだ。
 
 1点目は、その要求を具現化したものだった。
 冨安が動き出した永井に縦パスをつけ、それがゴールに繋がった。冨安のプレーは「ビルドアップからゴールにつながるパスを出す」という森保監督の要求に完璧に応えるものだった。
 
 永井の2点目は、畠中が起点になった。
 畠中は、3月のボリビア戦でデビューしたが、その試合でも横浜F・マリノスで見せていたように前線へ鋭い縦パスを繰り出していた。東京ヴェルディユース上がりらしく視野が広く、技術が高い。それをビルドアップで活かし、今回も原口の動きを見ながら縦パスを繰り出し、永井の2点目に結びつけた。
 

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