【福岡】「アビスパスタイル」の確立へ久藤新体制がスタート! 監督交代の劇薬にチームの雰囲気は?

2019年06月08日 中倉一志

クラブの基本方針を根本から揺るがしかねない出来事にチームは…

16節の大宮戦を引き分けに持ち込んだ福岡は現在18位と低迷。果たしてスタイルの確立とともに、順位でも巻き返せるか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

「今日からまた新たな気持ちで元気を出してやりましょう」
 
 5日、雁の巣球技場に久藤清一新監督の掛け声が響く。その声に促されるように選手たちがピッチに散っていく。ウォーミングアップ、パス練習、ゲーム形式のポゼッショントレーニング、そしてハーフコートのミニゲーム。練習メニューが進んでいく毎に、選手たちの要求し合う声が大きくなっていく。選手たちの表情に硬さはない。程よい緊張感と、程よくリラックスした雰囲気の中で、久藤監督は初日の練習を終えた。

 
 突然の出来事だった。16節・大宮アルディージャ戦終了後にファビオ・ペッキア監督の退任、久藤コーチの監督就任が決定。試合翌日の朝に選手たちに伝えるとともに記者発表を行ない、久藤監督による新体制がスタートした。退任の理由はペッキア前監督の家庭の事情。前監督が15節・鹿児島ユナイテッドFC戦後の28日に退任の意向を示してから話し合いを続けていたアビスパ福岡だったが、最終的に受け入れる決断をした。
 
「J2優勝、J1昇格」の目標と併せて、今シーズンを「アビスパスタイルの確立」を掲げた初年度として位置付ける福岡は、その構築をペッキア前監督に一任。退任のわずか1週間前には、ファビオ前監督とともに「アビスパスタイルの確立」に向けて歩んでいくことに変わりがないことを明言したばかり。まさに青天の霹靂だった。

 ペッキア前監督とともに退任したマルコ・アントニオ・フェローニ・フィジカルコーチ、ヴィスコンティ・ヴァレーリオ・コーチに代わって、アカデミーダイレクターの藤崎義孝氏、U-18チームの宮本亨氏を起用するなど、後任人事をすべてクラブ内で済ませたこともからも、クラブにとっては突然の申し入れであったことが窺える。
 
 クラブの基本方針を根本から揺るがしかねない出来事。だが、この日の練習を見る限り、その影響は最小限で済んだように見える。
 
「いい雰囲気でやってくれた」とは久藤監督の言葉。鈴木惇も「どういう経緯でこうなったのか分からないし、全然予想もしていなかったが、そこに対してパワーを使うよりも、このあとどうしようかという考えの方が強かった」と話す。そして監督交代に伴い、篠原弘次郎に加えて副キャプテンに任命された松田力の「ここから這い上がっていこう」という言葉で練習を締めくくった。

次ページ「戦う集団になろう」と話した久藤新監督。攻撃的なスタイルの確立へ前進し続ける覚悟を見せた

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事