【U-20W杯|日韓戦】VARでゴール取り消し…その時、日本に何が起きていたのか

2019年06月05日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「日本の心理状態が不安定になった」

キャプテンの齊藤未月がVAR判定について振り返った。(C) Getty Images

[U-20ワールドカップ 決勝トーナメント1回戦]U-20日本 0-1 U-20韓国/6月4日/ルブリンスタジアム
 
 おそらく、日本人のほとんどが「やっと入った!」と立ち上がった瞬間だった。
 
 前半、5バックで自陣に引いて守る韓国に対し、日本はポゼッションをして攻め続けた。72%を誇るボール保持率でジャブを打ち続け、後半になっても攻撃の手を緩めない。すると、50分についにネットを揺らした。
 
 セットプレーの流れからこぼれ球を拾った齊藤未月がゴール前に山なりのボールを送ると、宮代大聖が反応してボレーを打ち込む。シュートは相手GKに弾かれたが、すかさず郷家友太が詰めてゴール……と思われたが、VARで宮代がオフサイドの判定となり、得点とはならなかった。
 
 郷家はこう振り返った。
 
「韓国が抗議していることは知らなかったので、僕自身も凄い嬉しかったです。これでチームの報いになれるんじゃないかというところで、VARの判定が出てしまったので、凄いショックだった。
 
 それが出た瞬間、日本の心理状態が不安定になったんじゃないかと思います。みんなバタバタになってしまっていたというのは、やっていた自分たちが一番知っているので、そういうのは関係してきているのではないかと思います」
 
 ベンチからの視点では、中村敬斗が「VARでゴールが取り消しになったあたりから、少し韓国の流れになった」と言う。キャプテンの齊藤は「ゴールになった喜びを分かち合った後に、取り消されるのはダメージがあるんだなと感じた。あそこから、もう一回ギア、テンションを上げるのは、10分、20分で取り戻せるレベルではないなと」心理状態を回想する。
 
 たしかに、50分~70分の間は67分のピンチを筆頭に劣勢だった。しかし、70分、76分、78分に日本に決定機が訪れたように、終盤は盛り返している。だからこそ、VAR判定の影響について、「雰囲気が相手に行ったところもありましたけど、ここだから声を出そうと言っていましたし、落ちすぎてはいないとも思います」と述べる宮代もいれば、「多少はあったとも思いますけど、選手たちはしょうがないという感じで、前を向いていこうと話していました。全員が下を向くことなく、変わらず前を向いて戦えたと思います」と藤本寛也は言う。
 
 まさかのゴール取り消し判定によりチーム内で各々、複雑なメンタル状態だったかもしれない。いずれにせよ、最終的には84分に失点して敗戦。「あれと向き合っていかないといけないのが今後のサッカー」と齊藤が口にするように、この経験を未来への糧としてもらいたい。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事