勝負を分けたポイントは? エキスパートが「クラシコ」を掘り下げる

2014年10月26日 ディエゴ・ラトーレ

バルサの選手は軒並み低調で…。

R・マドリーが逆転勝利を収めた今回のクラシコ。明暗を分けたポイントとは――。 (C) Getty Images

 レアル・マドリーとバルセロナが激突する伝統の一戦「クラシコ」。10月25日の今シーズン最初の対戦は、はたしてどんなゲームだったのか。勝敗を分けた分岐点はどこにあったのか――。
 
 元アルゼンチン代表FWで、現在は解説者を務めるディエゴ・ラトーレが、ホームのR・マドリーが3-1でモノにした今回のクラシコを掘り下げる。
 
レアル・マドリー 3-1 バルセロナ
[得点者]
レ=C・ロナウド(35分PK)、ペペ(50分)、ベンゼマ(61分)
バ=ネイマール(4分)
 
――◆――◆――
 
1)今回のクラシコはどんな試合たったか。満点が5つ星だとすると、星いくつ?
 
 評価は「3つ星」。
 
 互角の攻防が繰り広げられたのは前半だけで、後半に試合が壊れてしまった。ゲーム序盤は好勝負の予感が漂っていただけに、この急激な展開の変化は残念であり、不可解ですらあった。とくにバルサ側に試合から消えてしまった選手が多かった。
 
2)勝負を分けたポイントは?
 
 ターニングポイントはふたつある。
 
 まずは22分。イケル・カシージャスがリオネル・メッシのシュートをセーブしたこと。
 
 開始早々に先制を許したマドリー(4分にネイマールに決められた)がまだ試合に入り切れていない時間帯だっただけに、ここでリードを広げられていたら、その後の展開も、結果も変わっていた可能性はある。
 
 続いて33分、マルセロがジェラール・ピケのハンドを誘ってPKを得たこと。
 
「選手のパフォーマンスは感情面に左右される」との格言どおり、このPKをクリスチアーノ・ロナウドが決めて同点(35分)とすると、そこから流れはマドリーへと傾いていった。
 
3)その他、勝負を左右したファクターは?
 
 メッシがさすがのプレーを披露したのは最初の30分間だけ。以降は試合から消えてしまい、何度か訪れたチャンスをモノにできなかった。存在感とともに、いわばフィニッシュのタッチを失ってしまった。
 
 改めて脆さを露呈したピケ、攻守に役割が定まらなかったジェレミー・マテュー、孤軍奮闘も実らなかったセルヒオ・ブスケッツ、かつての圧倒的な存在感が消えてしまったシャビ、相変わらずのムラっ気を見せたネイマール、スタミナ切れを起こしたルイス・スアレス、筋肉系の故障で途中退場したアンドレ・イニエスタと、バルサの選手たちのパフォーマンスは軒並み低調で、これが後半の急失速を招いたと言える。
 
 一方のマドリーは、トニ・クロースが中盤を牛耳ることはできなかったが、その分をハメス・ロドリゲス、イスコ、カリム・ベンゼマの献身性がカバーした。マドリーにとって、今後に弾みがつく大きな勝利となったことは間違いない。
 
考察・分析:ディエゴ・ラトーレ
取材・構成:ロベルト・マルティネス
翻訳:下村正幸
 
【ディエゴ・ラトーレ】
現役時代は「マラドーナ2世」と呼ばれた名手で、ボカ・ジュニオルスではガブリエル・バティストゥータと強力FWコンビを形成した。アルゼンチン代表として1991年のコパ・アメリカ優勝を経験。イタリア、スペイン、メキシコのクラブを渡り歩き、2006年に現役を引退。解説者に転身し、テレビのコメンテーターやコラムニストとして幅広く活躍中だ。的確な分析力で、アルゼンチンのみならず南米全土で高い評価を受ける。スペインの高級紙『エル・パイス』にも定期的にコラムを寄稿する。69年8月4日生まれ。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事