【松本】光明を見出すが不安要素も。スピードスター前田不在の穴を埋めるのは――

2019年06月03日 大枝 令

圧巻のドリブル突破でPK奪取

清水戦で今季2点目となるゴールをマークしたL・ペレイラ。「もっともっと取っていきたい」と上機嫌だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第14節]松本1-1清水/6月1日/サンプロ・アルウィン
 
 希望と不安が入り混じる90分間だった。
 
 17位の清水を迎えた一戦は、にらみ合いが続き、PKの1点ずつで痛み分けとなった。
 
 両チームともブロックを敷いて構え、互いのストロングポイントを無力化するガマン比べの展開。松本は、清水のドウグラスへのクロス供給を遮断すれば、一方の清水は背後のスペースを消してくる。どう転んでも1点勝負、という雰囲気が流れ始めていた。
 
 そうした膠着状態のなか、単騎で試合を動かしたのがレアンドロ・ペレイラだった。センターライン付近の自陣左サイドで、清水のボランチ六平光成からボールをカット。「まったくシュートチャンスがなかったので、ボールを奪った時はなんとしてもエリア内に持ち込もうという気持ちだった」と、それまでのフラストレーションをすべて発散させるかのように猛然とドリブルを開始した。
 
 そこからの展開はまさに圧巻の一言に尽きる。ファン・ソッコのスライディングタックルをあざ笑うかのように交わし、さらにスピードアップ。ペナルティエリア内まで持ち運び、取り戻しに来た六平のタックルがファウルの判定となり、PKを得た。これを自ら決めて先制。今季2点目となる7試合ぶりのゴールを挙げ、試合後は「センターフォワードなのでアタッカーとして仕事ができたのは本当に嬉しいし、チームのためにもアタッカーが決めるのは大切なこと。ただ、これを続けないと意味がないので、もっともっと取っていきたい」と上機嫌だった。
 
 松本にとっては、まさに"清水の舞台"から飛び降りるような額を払って招き入れた助っ人ブラジル人が、強烈な個の力を示して、たったひとりでゴールを奪った。そのこと自体は手放しで喜ばしいし、次節以降に向けても一条の光明となるだろう。
 

次ページシャドーとして新境地を切り開く

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事