【U-20W杯|グループステージ総括】逆風に打ち勝った無敗突破。日韓戦に向け看過できない問題点も…

2019年06月01日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

流れが変わったエクアドル戦のハーフタイム。

0-1でリードを許していた状況で、若原がPKをストップ。苦しい状況から何度も這い上がってきた。(C)Getty Images

 5月7日に発表されたU-20ワールドカップのメンバーリストを見て、当時は正直不安を感じていた。この世代のトップランナーとも言える久保建英、安部裕葵、大迫敬介がコパ・アメリカ招集のために選外となり、主力の橋岡大樹、GK谷晃生が負傷によって本大会に間に合わなかったからだ。さらに、一度はメンバー入りした滝裕太までもが怪我で離脱し、代わって原大智が追加招集された。前途多難な船出だ。
 
 結果的にメンバーは所属クラブで出場機会が少ない選手も多かったため、コンディションを上げることにも力を注ぐ必要があった。さらには短期間で戦術も落とし込まなければならない。影山雅永監督にとって、難題が多かったことは想像に難くない。
 
 また、グループBで同居したのは、南米1位のエクアドル、北中米カリブ海2位のメキシコ、欧州2位のイタリアと、どれも強敵揃い。"死の組"を突破するのは困難だと見られていた。

 そうして迎えたエクアドルとの初戦は、相手をリスペクトし過ぎたのか、「正直チームとしてボールを受けるとか、やってやろうというところからビビったプレーが多くて、みんながボールをもらおうとしないと、あのような形で最後に失点してしまう」と主将の齊藤未月が振り返る通り、先制点を許した。
 
 44分、自陣左でFKを与えると、クロスをGK若原がパンチングしたが、このボールが田川亨介に当たって跳ね返り、日本ゴールに吸い込まれたのだ。0-1でリードされた前半は最悪の内容だった。
 
 ハーフタイム、影山監督から檄が飛んだ。齊藤が明かす。
 
「『相手は何も来ていないぞ、なんでビビってボールを動かさないんだ。田川(享介)とか(斉藤)光毅の裏があるけど、地上でサッカーをするのが俺らじゃないのか』という話をされた」
 
 そうしてアグレッシブさを取り戻した日本は、68分に山田康太がゴールを決めて同点。初戦で貴重な勝点1を得た。さらに、メキシコ戦では今大会最高のゲームで3-0の快勝。互いに引き分け以上でグループステージ突破が決まるイタリア戦は、相手が自陣に引いてドローに終わり、無敗で決勝トーナメント進出を果たした。

次ページ逆風を跳ね返す雑草魂があった。

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