「あなたのキャリアはアンラッキーですか?」――いじわる質問に“熱血漢”クロップはなんと答えた?

2019年06月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

「我々はキエフから成熟した」

前日練習でクロップは、いつもと変わらないリラックスした表情を浮かべた。 (C) Getty Images

 51歳のドイツ人指揮官にとっては、文字通りの負けられない戦いが迫っている。

 現地時間6月1日、スペインの首都マドリードで、欧州サッカーを締めくくるチャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝が開催される。

 今シーズンのファイナルはトッテナム・ホットスパーとリバプールの顔合わせとなった、クリスチアーノ・ロナウドやウェイン・ルーニーを擁したマンチェスター・ユナイテッドがチェルシーを破った2007-08シーズン以来となるイングランド勢対決でもあり、注目度は高まっている。

 このファイナルにやる気をたぎらせているのが、リバプールの熱血指揮官ユルゲン・クロップその人である。

 クロップは、自身の監督キャリアで過去2度、CL決勝の舞台で指揮を執った。1度目はドルトムントを率いた2012-13シーズンにバイエルンとの同国対決、そして昨シーズンにはレアル・マドリーと対戦。しかし、いずれも敗戦し、歓喜の瞬間は訪れなかった。

 異なるリーグのクラブをCLファイナルという檜舞台に押し上げたこと自体が、クロップの監督としての素質を十分に物語っている。だが、やはりサッカー界は勝ってなんぼの世界。"3度目の正直"となる今シーズンの決勝で敗れれば、シルバーコレクターというレッテルを貼られかねない。

 そんな大きなプレッシャーを背負うクロップに、現地時間30日に開かれた前日会見で、少し意地悪な質問が飛んだ。

「必ずしもそうではないが、あなたのキャリアはアンラッキーなことに見舞われていると思いますか?」

 ビッグイヤーを手に出来ていないことを皮肉交じりに訊くジャーナリストに、「私のキャリアがアンラッキーだと思うかい?」と聞き返したクロップは笑顔を浮かべながら、こう続けた。

「チャンピオンズ・リーグは2013年と2017年に決勝へ行った。それ以外のカップ戦でも私はたぶん6回は準優勝に終わっている。きっと、あと1回でも負けたら世界記録じゃないかな? それなら本でも出そうかな(笑)。まぁ、とにかく私のキャリアは決して不運なんかじゃないよ。負けることで自分自身を敗者だと思うのなら、私に問題があるけど、そのようには思っていない。我々はトロフィーを手にするために、再びここにいる」

 そして、クロップはレアル・マドリーに敗戦を喫した昨シーズンの決勝からチームが大きく成長したことを強調した。

「昨シーズンに我々が決勝に進んだことはビッグサプライズだった。マドリーは強すぎたよ。それに、チームに一貫性がなかった。ただ、あのキエフでの敗戦から我々はより成熟した。去年よりも1歳年上になったんだ。だからこそ、(今季プレミアリーグで)97ポイントも稼げたんだ」

 果たして、クロップは自身の悲願でもあるビッグイヤーを手にし、レッズに栄冠をもたらせるのか。運命の時が迫っている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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