鬼門の大阪でつまずいたFC東京…らしくない敗戦の原因は疲労だけではない

2019年05月27日 後藤勝

リーグ13戦目で今季初の黒星。決定機は少なく、失点もあっさり

連戦と暑さが影響したのか、久保もキレを欠いていた。写真:徳原隆元

 気温30度を超える真夏日。傍目にもFC東京の動きは、これまでよりも乏しかった。46分には久保建英からディエゴ・オリヴェイラにパスが通ればチャンスという場面で、肝心のD・オリヴェイラが転んでしまう。かと思えば50分には、今度はD・オリヴェイラから久保へと渡ろうとする場面で久保が滑る。公式記録上のシュート数は9本だが、決定的な場面は少なかった。かくして首位のFC東京はセレッソ大阪に敗れた。J1リーグでは今シーズン初めて喫した黒星だった。
 
 ここまで18試合で12得点、3試合・2得点ペースでゴールをあげてきたアベレージを考えれば、この日の出来だけで攻撃陣を責めるのは酷かもしれない。室屋成は「今まで前の選手はチャンスが少ないなかでもチームを救ってくれていたので、何かを言うことはない」と、前線の選手たちを労った。そしてむしろ失点を悔いた。
 
「やっぱり難しい試合。0-0で最低勝点1は持ち帰らないといけないゲームだったのかなという印象です」
 
 らしくないのは、失点場面も同様だった。松田陸の右からのクロスに対して下がりながら対応したセンターバックコンビはブルーノ・メンデスに死角から入り込まれ、前でヘディングシュートを撃たれた。
 
 橋本拳人は「前回も大阪に来たときはあまりよくなかった。"大阪"というチームとは相性がよくないのかもしれない」と言った。昨シーズンは8節に長居、21節に吹田で、それぞれセレッソとガンバに敗れている。それでも今シーズン5月4日の10節ではガンバ大阪と吹田で引き分けた。アウェーで思い通りにならない試合でも引き分けに持ち込むことがマストだったが、それができなくなった。
 

 昨シーズンの8試合未勝利は、奇しくもその21節でガンバに敗れることから始まった。大阪の地で敗れることが"蟻の一穴"となり、そこから崩れていったのだ。8月10日の大阪は最高気温34度。暑熱に弱い記憶が脳裏をよぎる。ここで食い止めなければ、傷口が拡がり、首位争いから後退しかねない。
 
 橋本はそこを警戒していた。
「こういうゲームでどれだけ自分たちがコントロールして勝ちに行くかというところが課題です。もっともっと自分たち主導で攻撃ができるようになっていかないと、夏場は難しくなってしまう。今日は教訓になったというか、次につながるゲームだったと思います」

 運動量の低下は連戦の疲労だけが原因ではないだろう。水曜日のルヴァンカップ遠征に帯同しなかったメンバーは休養十分であるはずだからだ。うまくいかなかった複数の原因を精査し、暑熱期に向けてトレーニングやコンディショニング、戦い方の整備をするべきタイミングが到来したことを、橋本の言葉は物語っている。
 
取材・文●後藤勝(フリーライター)
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