【U-20W杯・メキシコ戦|戦評】巧妙な駆け引きに対応。急造の“ライネス包囲網”が機能した要因は?

2019年05月27日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「中盤の形を変えてきたのは驚きだった」

齊藤未月はライネスがボールを持てば果敢なディフェンスをした。(C) Getty Images

[U-20ワールドカップ グループB]U-20日本 3-0 U-20メキシコ/5月26日/グディニャスタジアム
 
 4-4-2の右サイドが主戦場のディエゴ・ライネスをどう抑えるか。入念な対策を練った日本だったが、ふたを開けてみると、相手エースは4-3-1-2のトップ下でスタートした。
 
「中盤の形をメキシコが変えてきたのにはちょっと驚きました。というのは、このゲームにかける思いをどう表現してくるんだろうなとは思っていましたけども、我々のテクニカルスタッフが知っている限り、あのような形でこれまで予選をやってきたというのは情報としてなかったものですから、かなりこれは点を取るために来る準備をしてきたんだなというのは感じました」(影山雅永監督)
 
 立ち上がり、日本はそのライネスに中央をドリブルで持ち込まれ、鋭いスルーパスで左サイドを突かれたが、相手FWとの1対1をGK若原智哉が好セーブで凌いだ。予想外のシステムによる目立ったピンチはこの場面くらいで、以降はすぐさま相手の奇策に対応した。右サイドバックの菅原由勢は言う。

「4-4-2で来ると思っていたんですけど、逆に10番がフリーマンになってくれたおかげで、うちのボランチの選手がそこのコースを気にしてくれたので、上手くボールが入る回数が少なかった。逆にあのポジション変更が僕らのサッカーをさせてくれる要因だったと思います」
 
 藤本寛也と齊藤未月のダブルボランチは、トップ下へのパスコースをケアするだけでなく、CBがロングボールを競り合ったこぼれ球も相手エースには拾わせなかった。仮にボールを持たせても、すぐさま複数人で囲み、日本は急造で"ライネス包囲網"を作り上げた。
 
 メキシコが4-3-1-2の並びになったことにより、相手のサイドハーフが中央を締めた。そこで、日本は相手サイドハーフが空けたワイドのスペースを突くため、サイドバックの菅原(右)と鈴木冬一が積極的に攻撃参加。高い位置で人数をかけ、ポゼッション率も必然的に高まった。
 
 そして21分、日本は先制ゴールを奪う。左サイドを駆け上がった鈴木がアーリークロスを上げ、一度はクリアをされるも、こぼれ球を藤本が拾う。ダイレクトで前線へパスを送り、これに宮代大聖が反応して左足シュートを決めた。
 
 巧妙な駆け引きを仕掛けてきたメキシコだったが、日本は素早い対応力で逆手にとって見せたのだ。

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