【セルジオ越後の天国と地獄】A代表を強くするのが協会の仕事なら、若年層の強化にこそ資金を投じるべき

2014年10月23日 週刊サッカーダイジェスト編集部

年代別代表の強化に責任を負わない協会では、日本の未来は暗い。

北朝鮮にPK戦で敗れたU-19代表。4大会連続でU-20W杯出場を逃した事実を協会はどう受け止めるか。(C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト11.4号(10月21日発売号)より
 
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 U-19アジア選手権の準々決勝で北朝鮮に敗れた日本は、来年5月にニュージーランドで行なわれるU-20ワールドカップの出場権を逃した。今年は、アジア大会やU-16アジア選手権など、いろんな国際大会で日本代表が結果を残せなかったけど、U-19代表も同じ轍を踏んでしまった。
 
 U-19アジア選手権はスケジュールがきつい。大会期間が長いと運営面で赤字になってしまうから、中1~3日での連戦になるんだ。その影響で日本代表のプレーの質が下がっているとも思うけど、一方で他のアジア勢との力の差がなくなってきているのも実感したよ。
 
 日本はベトナムに苦戦したし、中国にも敗れている。どちらの試合でも押し込んではいたけど、決め手に欠く内容だった。2-1で勝った韓国戦だって、相手の監督のミスがあったからね。あの暑さでメンバーを固定して戦っていたから、韓国の選手はオーバーヒートを起こした。逆に日本は怪我人の続出もあって、多くの選手を入れ替えたのが奏功したのだろう。
 
 いずれにしても世界大会への切符を取れなかった事実を重く受け止めるべきだよ。U-20ワールドカップの出場権を逃したこの世代は、世界のレベルを知らずに、ドメスティックなJリーグだけで経験を積んでいくことになる。海外遠征を増やすなりして対策を打たないと、世界との差は広がってしまうだろう。
 
 今回、アジアで敗れたU-19代表だけでなく、年代別代表の強化に対する最近の協会の姿勢はひどいよね。昔はオリンピック代表が頻繁に国際試合をやっていたけど、なでしこブームで女子の試合が増えてから、彼らの強化試合が少なくなってしまった。例えば、キリンチャレンジカップの前座試合。年代別代表で国際試合ができる貴重な機会を、興行のために売り飛ばしてしまったんだ。選手が育たないのは当たり前だよ。
 
 A代表を強くするのが協会の最も大事な仕事。だったら、無駄なハイヤーや自社ビルにお金を使うのではなく、若年層の強化に資金を投じるべきだよ。J3にU-22のチームを作ってボトムアップするのも理念としては分かるけど、費用対効果が小さすぎる。U-22選抜から将来的にA代表に入ってくる選手がどれだけいるの? だったら、もっとオリンピック代表の活動費を増やして遠征のひとつでもやるべきだ。
 
 4大会連続でU-20ワールドカップ出場を逃したU-19代表の結果を見ても、協会は動かないのかな。結果が出なければ、責任者を代えるべきだし、強化のトップである霜田技術委員長が出てきて改善案を示すべきだ。でも、またうやむやにして問題は先送りでしょ。日本サッカーの将来は真っ暗だね。

次ページ誰が監督になっても、選手が育っていない日本は強豪に勝てない。

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