「僕よりレベルの高い選手はいっぱいいる」けれど…J2首位の山形に不可欠な男の魅力とは?

2019年05月24日 嶋 守生

指揮官も栗山の言動の変化について語る

今季、14節まで首位を走る山形を後方から支える栗山。指揮官も大いに頼りにする存在だ。写真:徳原隆元

「正直、栗の代わりに誰を置いても、物足りなさがある」
 
 木山隆之監督がこう話すほど、首位を走るモンテディオ山形に欠かせない存在になっている栗山直樹。昨年はチームの主軸として36試合に出場すると、今年は副キャプテンを任されて、ディフェンスリーダーとして開幕からフル出場中。高い対人能力と空中戦の強さは今季のJ2屈指と評判も高く、リーグ3位となる9失点の守備を支えている。

 
 しかし、13節・ジェフ千葉戦では68分に千葉DFエベルトとの接触で痛んだあともプレーを続け、試合終了と同時に倒れ込んで救急搬送されるというアクシデントに見舞われた。
 
後日、「鼻の左横が陥没していて、鼻も少し折れている」という左上顎骨骨折と診断されたが、プレーには支障がなく、14節・徳島戦にはフェイスガードを付けて出場。「鼻で呼吸ができなくて息が上がっていたから」と試合開始から5分でフェイスガードを外してしまい、そのままフル出場を果たした。
 
「(千葉戦終了後に倒れたのは)痛いというよりも気持ち悪かっただけ。痛みに耐えてプレーしてすごいと言ってくれる方がたくさんいますけど、皆さんが言うほど重傷じゃない」と栗山。
 
 勝利の余韻に浸る余裕もないサポーターが多かっただけに、胸を撫で下ろしたところだろう。
 
 現状のチームを見ると、スタメンクラスであれば守備は安定しているものの、DFに故障者が出始めているなかで、選手層が厚いとは言い難い。少なくともポジションは安泰のようにも見えるが、栗山本人は木山監督の冒頭の言葉についてはっきりと否定し、自身のプレーとポジションに対して謙虚さと危機感を持ち続けている。
 
「僕よりレベルの高い選手はいっぱいいるから、他の選手よりプラスアルファを出して差をつけないと試合に出られない。だから、リーダーシップを取って差をつけることは意識しています」
 
 ただ、副キャプテンになった今年は、ポジションを守るためのリーダーシップだけでなく、チームに対する責任感も芽生えている。その自覚については、木山監督がこう評価している。
 
「去年の終盤には堂々とプレーしていたけど、副キャプテンになった今年は、自分がやらなきゃいけないという思いが強くなったと思う。それはプレーからも感じるし、ミーティングでの発言からも感じる。自分がリーダーシップを取っていこうという意志が感じられる」
 

次ページチームのために周りにも厳しく求めているのが今年の栗山だ

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