新任のアッレグリ監督は、前任者のコンテの下で磨かれた３-５-２のシステムを踏襲。レジスタ（司令塔）のピルロを軸に組み立て、鋭いクサビのパスや横への揺さぶりで生じた敵DFラインのギャップを、２トップはもとより、高い位置に張り出す両ウイングバック、さらにインサイドハーフ陣が次々と突く厚みのあるアタックはもはやお馴染みだ。
 
　ピルロと並ぶ戦術上の柱がビダル。チームに浸透するハードワークの象徴で、とりわけ攻→守の切り替えの速さは目を見張る。
 
　ピルロが怪我で欠場中には、代わりにマルキージオがレジスタを務めて及第点の働きを見せた。どこか居心地が悪そうだった昨シーズンとは見違えるようなパフォーマンスで、これで実質不在だったピルロの代役に目途が立ち、ますます隙のないチームとなった。
 
　アッレグリの真価が問われるのは、順調に滑り出したこの歩みに乱れが生じた時だろう。自身が得意とする４バック＋３MFの布陣への移行は、適材がいなかった左SBにエブラを補強したことで支障はなくなった。
 
（ワールドサッカーダイジェスト2014.11.6号）