大一番に強い要因は?北京戦の快勝に導いた“勝負師”オリヴェイラの入念なアプローチ

2019年05月22日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「メリハリをつけてくれた」(武藤)

その手腕が疑問視されていたオリヴェイラ監督も、北京国安戦では勝負強さを見せつける。見事に決勝トーナメント進出に導いた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[ACLグループステージ6節]浦和3-0北京国安/5月21日/埼玉スタジアム2002
 
 浦和レッズは5月21日、ACLグループステージ6節の北京国安戦で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。
 
 お互いにグループ突破が懸かる試合で、負けはもちろんのこと、アウェーゴールを奪われての引き分けも、大会からの敗退を意味していた。そんな大一番で勝利できた一因は、オズワルド・オリヴェイラ監督の入念な準備にあったかもしれない。
 
 リーグ3連覇など数々のタイトルをもたらした鹿島時代から"ここ一番"での勝負強さに定評があった指揮官は、こうした重要な試合に対するアプローチは、当然意識してきた。
 
 まずはJ1リーグ・11節の名古屋戦が終わってから、12節の湘南戦に向けたチームと、この北京国安戦に向けたチームとで、ふたつに分けた。固定されがちだったレギュラー陣が疲労を抱えていたのは事実で、湘南戦で大胆なターンオーバーを敢行したのである。湘南に劇的な逆転負け(後半アディショナルタイムに失点し、2-3で敗戦)を喫するのは想定外だっただろうが、それはさておき、北京国安戦へのアプローチという意味では、効果的な判断だった。
 
 湘南戦に敗れリーグでは3連敗と、オリヴェイラ監督の手腕を疑問視する声は高まっていった。にわかに進退問題に関する噂すら挙がっていたほどだ。そんな状況でも指揮官はこの一戦を見据えていた。
 
 手を抜かなかったのは、選手たちのモチベーションを高める作業だ。「私たちがACLを戦い続けるために、決定的となる節だった。日程が進むにつれてピッチ外でも方向性を与えるべく、選手たちに話をしてきた」という。
 
 実際、北京国安戦で1得点・2アシストと躍動したFWの武藤雄樹は、試合後にこう振り返っている。
 
「監督には常に色々なことは言われていますけど、特に今日の試合に懸ける部分は大きくて、大事な決戦だったので、試合前に『ここにすべてを置いてくるつもりで戦え』とずっと言われていました。そうやって試合前から僕たちの気持ちを上げてくれた。
 
 それに試合の2、3日前にはサッカーバレーでリフレッシュができたり、そういったメリハリをつけてくれた。チームとしても僕自身としても良いコンディション、良い心と身体の状態を作ってくれたと感じています」
 

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