【ACL浦和|戦評】光った長澤の献身。“汗かき役”がいてくれるとチームは助かる

2019年05月21日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

長澤が悪い流れを断ち切る

1得点・1アシストの長澤。素晴らしい活躍だった。写真:サッカーダイジェスト

 2019年5月21日、ACLで中国の北京国安をホームに迎えたグループリーグ最終戦。0-0の引き分け、もしくは勝利で決勝トーナメント進出が決まる一戦で、浦和は3-3-2-2システムを採用した。
 
 GKは西川周作、3バックは右から鈴木大輔、マウリシオ、槙野智章。アンカーは青木で、右ウイングバックが森脇良太、左ウイングバックは山中亮輔。インサイドハーフは右からエヴェルトン、柏木陽介で、2トップは右から武藤雄樹、興梠慎三というスターティングメンバ―だった。
 
 2点を先行できれば試合を優位に進められるはずだが、その意味で注目は興梠が"ストライカー"になれるかだった。今季、浦和が攻めあぐねた試合ではたいてい興梠がチャンスメーカーとして振る舞っていた。本来なら得点源となるべき彼がズルズルとポジションを下げて崩し役になってしまうと、それだけで相手へのプレッシャーが減る。結果、決定機が少なくなり、チームは勝利から見放されるという傾向にあった。だからこそ、興梠はフィニッシャ―に専念させるべきで、その観点からすると、彼にどうボールが集まるかがこの試合の注目ポイントのひとつだった。
 
 しかし、開始直後に相手との接触で右膝を痛めた柏木が13分に交代。そうしたアクシデントもあってか、浦和はなかなかペースを掴めない。開始2分に森脇が至近距離からシュートを放つ好機こそあったが、22分にセドリック・バカンブに決定的なヘディングシュートを打たれると、続く23分には再びバカンブに絶好機を与えてしまった。いずれもGK西川の好セーブで凌いだとはいえ、その後もしばらく苦しい展開を余儀なくされた。
 
 押し込まれた要因のひとつは、元スペイン代表のホナタン・ビエラを比較的自由にしてしまったことだろう。アンカーの青木がある程度コースを限定していたものの、それだけでは不十分で中央突破からチャンスを作られる場面があった。
 
 ただ、柏木に代わって途中出場した長澤和輝が悪い流れを断ち切る。34分、エリア手前で武藤のパスを受けると、右足を一閃。先制弾を叩き込んだのだ。
 
 すると、41分には自陣からドリブルを開始し、レナト・アウグストの厳しいタックルにも倒れず、そこからドリブルでさらに進入した長澤が最後は武藤に横パスを送る。これを武藤が決めて2-0としたが、ほぼ長澤のゴールと言っても過言ではなかった。
 
 前半を終えて2-0。しかし、肝心の興梠にシュートはない。1点目は長澤と武藤のコンビネーション、2点目は長澤の個人技で敵の守備網を破った形で、分厚い攻撃とは言えなかった。2点リードしているとはいえ、どこか不安を残す内容。それが前半の浦和だった。
 

次ページやはり興梠がフィニッシュに絡むと期待感が膨らむ

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