リアル“南葛SC”のホームタウンを直撃! 葛飾区長に訊く「クラブと街」の幸せな未来像とは――

2019年05月28日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

注目度が上がるにつれて迫られるスタンドの増設、新スタジアムの問題は?

葛飾区の青木区長(左)と『キャプテン翼』の原作者で南葛SCの代表でもある高橋先生。毎年1月に開催される「キャプテン翼CUP」の交流会でのひとコマ。Ⓒnankatsu-sc

 南葛SCのホームタウン、葛飾区の青木克徳区長を直撃した今特集の後編は、葛飾区と南葛SCの未来像をテーマにお届けする。
 
 前編では、「一歩一歩、時間をかけて盛り上げていきたい」と、決して拙速にならず、クラブのステップアップと区民の熱の高まりに沿った側面支援を強調した青木区長。今後Jリーグを目指していくチームをどのようにバックアップし、ホームタウンとしていかなる姿を理想とするのか話を伺った。
 
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 南葛SCは現在東京都社会人リーグ1部に所属。クラブが目指す国内トップリーグのJ1から数えれば、実質的にJ7のカテゴリーに位置する。頂点に到達するまでは長い道のりだ。まずは東京都1部で3位以内に入り、関東大会を勝ち抜き関東社会人リーグ2部へ駒を進めなければならない。その後、関東1部、地域チャンピオンズリーグを勝ち抜き、JFLを経てJ3、J2、J1と階段を上っていく。
 
 青木区長は「そのステップごとに応援、支援をしながら、サポートできるような態勢を整えていきたいと思っています。やっぱり、それぞれの段階で考えていくべき問題が出てくると思いますから。ある程度お客さんが入るようになれば、スタンドの増設をどうしようかという問題なども出てきますよね」と話す。クラブがカテゴリーを上げ、ファンや地元住民の関心を高めていくなかで、実情に沿ったサポートを提供していく構えだ。
 
 とりわけ、青木区長が触れたスタンドの増設は、注目度が上がるにつれて、その都度対応が迫られる問題になるかもしれない。現時点では奥戸総合スポーツセンターに500人程の客席スタンドと周囲を取り囲む芝生席があり、ある程度の観客を収容できるが、「やはりJ2、J1となれば、1万人単位になるので、それに合わせたスタジアムも考えなければいけないですね」と区長も将来を見据える。
 
 そうなれば、ファンの魅力を惹きつける新たなスタジアムの建設を願う声も高まるだろう。クラブ側からの働き掛けもあり、青木区長は「(南葛SC代表取締役の)高橋(陽一)先生には、ぜひ早くそれを準備してくれと言われていて、なかなか簡単にいかない面もあるんですが、その期待に応えられるように考えていかなければと思っています」と、前向きな姿勢を見せている。
 
 ただし、その他の東京都区内と同様、葛飾区もそこまで広大な土地に恵まれているわけではない。新スタジアム建設にも"場所の問題"は切実で、だからこそ「いまできているものを改修するのか、そこの周辺を広げてスタンドを大きくするのか、あるいは新しい良い土地があるのか、いろんな事情ややり方がありますけど、この勝ち進んでいく状況に合わせて、区民の盛り上がりに合わせて考えていきたい」と、様々な要素から判断していく方針だ。
 
 とはいえ、今年に入り、葛飾区議会でも新スタジアム建設に関する意見が出された。青木区長は、「区議会のほうからも、ぜひそういうことを考えてほしいという質問もありますので、『そういったことには着実に進めていきたい』ということでお答えしています」としており、慎重な姿勢でありながらも、クラブ関係者の悲願へ確かな一歩が踏み出されたと言えそうだ。
 

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