イスコとイジャラメンディ 「スペイン化」の象徴のいま【マドリー番記者】

2014年10月17日 パブロ・ポロ

ハメスの獲得が何を意味しているか。

ワールドクラスが揃う分厚い選手層の前に、思うように出場機会が得られないイスコ(左)とイジャラメンディ(右)。番記者が2人の現状に迫った。 (C) Getty Images

 レアル・マドリーが1年と少し前、「スペイン化」を図っていたことを皆さんは覚えているだろうか? その象徴が、イスコとアシエル・イジャラメンディの獲得だった。当時、多くの人がその決断を絶賛した。2人はチアゴ・アルカンタラ(バイエルンで再度怪我に見舞われたのはスペイン・サッカー界にとっても大きな打撃だ)とともに、スペイン代表の次代を担うべきタレントだったからだ。
 
 時が経ち、状況は一変した。イスコとイジャラの獲得を批判する声が出始めている。とりわけ、逆風に晒されているのがイジャラだ。チームの結果が出ない時など、事あるごとに槍玉に挙げられた。なかには、言い掛かりのような不当な批判もあった。
 
 ただ現実として、2人ともマドリーでその能力を発揮しているとは言い難い。イスコもイジャラも、マドリーに相応しくない選手ではないだろう。問題はただひとつ。世界でもっとも競争が激しいクラブに在籍している、ということだ。毎年、世界最高のタレントがマドリーの中盤にやってくる。そんな厳しい環境に、彼らは身を置いているのだ。
 
 2人にとって入団2年目の今シーズンは、今後のキャリアを左右する重要な1年だろう。マドリーで試合に出られなければ、代表の扉は閉ざされてしまう。なにより、結果を残せなかったら、マドリーを出て行くしかない。後がない勝負の年だと、2人とも十分に理解している。
 
 イスコはマドリディスタ(マドリーファン)のお気に入りの選手のひとりだ。高度なテクニックがファンを魅了している。リオデジャネイロ五輪の出場権を逃すという失望に終ったU-21欧州選手権プレーオフのセルビア戦でも、唯一可能性を見せていたのがイスコだった。スペイン代表の将来を担うべき存在であることに間違いはないが、マドリーでの将来が約束されているわけではない。今夏、ハメス・ロドリゲスを獲得したクラブの決断が何を意味しているのか、イスコ自身もよく分かっている。マドリーがイスコに全面的に未来を託しているわけではないのである。
 
 イジャラは、クラブ上層部と、知り合いの代理人の話を総合すると、今シーズン終了後にレンタル(あるいは買い戻しのオプション付きの移籍)で出て行くことになりそうだ。外で実戦経験を積み、数年後に戻るというシナリオは有力だ。
 
 イスコは、随所に素晴らしいプレーを見せているが、はたしてカルロ・アンチェロッティ監督がどう判断するか。イスコの将来は指揮官にかかっていると言えるだろう。プレー機会が十分に与えられない現状に、彼の我慢は限界に近づきつつある。
 
【記者】
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。
【翻訳】
豊福晋
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