【セルジオ越後】平成振り返りの番組でサッカー低迷の理由が明らかに…。令和の課題は人気回復だ

2019年05月08日 サッカーダイジェスト編集部

プロアスリートは、ただ足が速いとか技術が高いとか、それだけではいけない

東京五輪では堂安らに期待がかかる。サッカー人気の回復のためにもメダル獲得が目標だ。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

「平成」が幕を閉じ、「令和」の時代が始まった。生前退位による改元だからか、世間はまるでお祭り騒ぎだね。ただ国の文化として元号が変わったけど、サッカー界では何かが特別変わるわけではない。平成に清算し切れなかった課題をクリアしていかなくてはいけないよ。

 日本代表はすぐにコパ・アメリカを戦わなくてはいけないし、来年には東京五輪が開催される。日本の看板を背負って戦う大舞台で結果を出すためには、下積みが大事なんだ。平成が終わってリセットされるものは、何もないよ。

 令和での大きな課題には、人気回復が挙げられる。ひとつの元号が終わるということで、テレビでは『平成のヒーロー』だとか、『アスリートの好感度高いランキング』などの特集が組まれていたけど、その順位にサッカーの低迷が表われていたよ。
 
 日本では今、フィギュアスケート、卓球、テニスなど個人競技がメディアに取り上げられがちだ。団体競技のアスリートで上位にランクインしたのはイチローくらいで、あとは羽生結弦、浅田真央、吉田沙保里、大坂なおみなど、個人競技の選手ばかり。彼らに続いて、辛うじて男子サッカーでノミネートされたのは、カズだけだった。 
 
 プロアスリートの世界はアマチュアと違って、ただ足が速いとか技術が高いとか、それだけではいけない。好感度や視聴率など、世間からの評価が非常に大事なんだ。つまり、個人の好感度は直接的に競技の人気にもつながるわけだ。その点で言うと、今回のランキングからサッカー人気の衰えを感じてならない。

 とはいえ元号が変わるタイミングで、そうやってサッカー人気が落ち込んでいる現実に気づけたのは、ある意味良かったのかもしれないよ。

 Jリーグが開幕して空前のサッカーブームが訪れた平成5年、当時は世界から有名なスター選手がやってきて、まさにフィーバーだった。その後日本サッカーは著しく発展し、ワールドカップに出場して当たり前だと言われるようになった。
 
 ただ元号が変わったタイミングで改めて振り返ると、Jリーグの人気だけで言えば、創設当初がピークだったね。それからはずっと右肩下がり。その証拠に、52歳のカズ以外には平成を象徴する選手に名前が挙がらない。それだけ空白が長いということだよ。
 

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