3度のW杯出場経験を持つ小野伸二だからこそ語れる“世界8強への道”と“ベルギー戦”

2019年05月01日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「あの“風景”が見えていたんじゃないのかな」

昨夏のベルギー戦を振り返り、「これが世界との差なのかと思い知らされました」という。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 1998年のフランス大会に初参戦してから、日本は以後、6大会連続でワールドカップに出場している。

 もはや"常連国"と言っても過言ではないが、世界の舞台で今ひとつ突き抜けられずにいるのも事実。過去6大会の日本の成績は以下のとおりだ。

1998フランス大会………グループリーグ敗退
2002日韓大会……………ベスト16
2006ドイツ大会…………グループリーグ敗退
2010南アフリカ大会……ベスト16
2014ブラジル大会………グループリーグ敗退
2018ロシア大会…………ベスト16

 規則正しく「グループリーグ敗退」と「ベスト16」を交互に繰り返しているが、明らかなのは、"世界8強入り"が積年の夢となっていることだ。

 こうした現状について、98年、02年、06年と3大会連続でワールドカップに出場した小野伸二は、いかなる感想を持っているのか。

「可能性はたくさんある」と展望しつつ、小野はこう続けた。

「だけど、ベスト8に行けないのは、やっぱり力がないからだとは思います。運も味方にしなければならない。運で片づけてはダメだけど、それも実力のうちですから」

 また、昨夏のロシア大会、ラウンド16のベルギー戦の結果には「最後の最後で、まさか、じゃないですか」と驚きを隠せなかった。

 原口元気と乾貴士のゴールで2点を先行しておきながらも、瞬く間に追いつかれ、アディショナルタイムでの失点で痛恨の逆転負けを喫し、ベスト8進出を阻まれた。

「本当に数秒の出来事で、でもこれが世界との差なのかと思い知らされました」

 その差について、小野なりに思うところがあった。

「どう考えても、あのゲームは2-2のまま、延長戦に突入っていう流れで、ただ点を取りに行った結果、"ああいう形"になってしまった」

 アディショナルタイムの90+4分、日本のCKの場面で本田圭佑の蹴ったボールが相手GKにキャッチされると、そこからわずか14秒の高速カウンターでゴールを割られ、西野ジャパンは沈んだ。

「見ているだけなので、なんとも言えないですけど」と断りを入れたうえで、小野は独特の表現で、勝負の分かれ目について言及する。

「あの展開はなかなか想像できるわけでもなく、でもベルギーの選手たちは、GKがキャッチした時に、あの"風景"が見えていたんじゃないのかな。経験というか、その点で海外のほうが上なのかもしれない。そんな気がします。だからベスト8に行くってかなりタフなこと。だけど、それを乗り越えていかないと」

 とはいえ、その差は埋められると小野は信じている。「可能性はもっと見出せるはず」と言う根拠には、増加傾向にある海外組の存在がある。

「2006年以降、代表の選手も海外組が多くなってきているし、その経験を活かしてほしいですね」

 経験値で海外に劣るのならば、その海外で個々が研鑽を積み、レベルアップを図り、代表チームに還元する。そうした地道な積み重ねが、日本サッカーを土台から強くしていくはず。時間がかかる作業かもしれないが、「楽しみですよ」と、小野も次世代のさらなる成長に大きな期待を寄せている。

※本記事は、サッカーダイジェスト5月9日号(4月25日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。

取材・構成●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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