識者が選んだ、平成の日本代表ベスト11!「日本のW杯はあのゴールの瞬間から始まった」

2019年04月29日 西部謙司

W杯インパクト・イレブン。それぞれの大会の顔を選出

西部氏が選出したW杯インパクト・ベストイレブン。各大会で印象的な活躍をした選手たちで構成した。(C) Getty Images

 ワールドカップで印象的な活躍をした選手で11人を選んだ。
 
 GKは1998、2006年大会で活躍した川口能活。どちらもチームがグループリーグ敗退だったが川口の奮闘は光っていた、というより神がかっていた。ゴール前でキックを空振りするなどミスでも目立っていたのだが、良くも悪くもインパクトの大きさで川口の右に出る者はない。06年のクロアチア戦ではPKをストップしている。

 
 センターバックは中澤佑二、田中マルクス闘莉王の2010年組。このコンビが代表史上最強だと思う。中西永輔は98年アルゼンチン戦の活躍から選出。アルゼンチンの10番アリエル・オルテガを完封した。ワールドカップ初出場の第1戦、しかも相手は優勝候補のアルゼンチンだったが、中西はオルテガを交代に追い込むほど1対1で抑え込んでいる。3戦全敗に終わったフランス大会だったが、個々のプレーぶりは堂々たるものがあり、日本選手のメンタルの強さは印象的だった。長友佑都は3大会で高水準のプレーぶりで文句なしだろう。
 
 ボランチは02年大会の「旬の男」稲本潤一。ベルギー戦とロシア戦で印象的な得点を決めている。10年のデンマーク戦は3-1でスコアのうえでは快勝しているが、実はスコアが逆になる可能性のあった試合。デンマークの、今でいうポジショナル・プレーに序盤の日本は混乱に陥っている。そこで解決策を出し、FKも決めた遠藤保仁を稲本のパートナーに置いた。
 
 香川真司、乾貴士は記憶に新しい18年の名コンビだ。この2人の関係を大会直前に発見したのは大きかったと思う。大久保嘉人は10年の活躍よりも、14年のコロンビア戦のプレーぶりから選んだ。完敗した印象しかないかもしれないが、この試合の大久保は圧巻である。最後の最後に本田でも香川でもなく、大久保のチームになっていたのが良くも悪くも印象に残っている。ザッケローニ監督は大久保をチームに組み込むのが遅すぎた。
 
 鈴木隆行を選んだ理由はただ1つだ。02年ベルギー戦の1-1に追いついたゴールによる。あのゴール直後の、上から音の固まりが降ってくるような体験は後にも先にもない。チームにもスタンドにも、あのゴールでスイッチが入った。鈴木がツマ先で押し込んだゴールの瞬間から、日本のワールドカップは始まった気がする。あの時点で、日本はワールドカップでまだひとつの勝点もあげていなかったのだ。監督はこのメンバーを把握している西野朗。
 

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