【三浦泰年の情熱地泰】少年サッカーの指導が思い出させてくれた純粋な気持ち

2019年04月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

少年サッカーとプロで、大きく異なるミスを指摘した時の反応

指揮官は選手の成長を願い、時には試合中でも厳しい叱咤の声を上げる時もある。(C) SOCCER DIGEST

「子どもは良い!」
 突然、何のことかと言えば、小学3年生から5年生を指導して思ったことだ。純粋で素直な子どもは育ち伸びる。当たり前のことだが、大事なことだ。
 
 僕が15年前に立ち上げた世田谷のチーム「FCトッカーノ」のジュニアチームを指導したのだ。6年生が大会に合わせてトレーニングするため、下のカテゴリーの指導であったが「指導者で良かったな!」と強く感じられる時間であった。
 
 8年間、Jリーグ(2015年はタイリーグ)で指揮を執っていたため、久しぶりにこの年代の子どもたちと触れ合え、懐かしい気持ちと失いかけていたこと、忘れかけていたことを思い出した。
 
 まずは指導者でいて、良かったということ。育てることの大切さは間違えなかったということ。
 
 それはどんなに有名な選手になったとしても、彼は成長し続けなければならないし、指導者は彼を成長させなければならない。
 
 僕がJリーグでやろうとした監督とは育てながら勝つ。「成長と勝利」の両立、併用だ。
 
 プロの選手と少年の違いを一番強く感じたのは、発した強い言葉に対しての反応だ。育てるためのアプローチに対して、どうリアクションできるかだ。
 
 ミスした選手(少年)に「何でミスしたんだ!」と叫んだら! 少年は「ヤバい!」次はミスしないようにしようという顔になる。ストレートだ。不思議でも何でもない。当たり前のことだ。
 
 プロはどうなるか? プロ選手は「えっ、俺ミスした? してないよ!」という顔をすることが多かった。少しレベルの低い話だがそういう選手は多かった。
 
 試合に出場できない、メンバーに入れない、子どもの顔は練習のゲームでさえも、試合に出たい! 早く出して! 出られない子はリフティングをしだし、僕にアピールする。
 
 プロの選手の顔は「なんで俺が出られないんだ」「間違っているのは俺ではない、監督だ」。
 実際に言ってはいないし、もしかしたら思ってもいないかもしれないが、そういう顔に見える。アピールはやめて走るのもやめる。
 
 もちろんそんな選手ばかりではないが、そう見える選手がいるのも事実だ。もちろん日本の最高カテゴリーJ1の選手にはいないと思いたいが分からない。
 
 もちろん、プロは少年とは違う。素直だけでは生きていけない。こだわりも必要だし、曲げられないこともある。これまで築き上げた、それまでに辿り着いた信念や支えてきた個々の何かがある。
 
 ただ、そんなプロ選手たちも、誰もがサッカー少年であり純粋であったはずだ。
 

次ページ叱咤があるから、厳しい言葉があるから「褒め」の効果が出る

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事