自殺を決意した16の夜…名手アデバヨールが明かした壮絶すぎる過去。死の間際で救いとなったのは?

2019年04月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

家族からのプレッシャーに耐え切れずに…。

現在はトルコの強豪バシャクシェヒルでプレーするアデバヨール。過去には今では考えられないような大きな悩みを抱えていた。 (C) Getty Images

 トルコのシュペル・リギで首位に立つバシャクシェヒルに所属する元トーゴ代表FWエマヌエル・アデバヨールが明かした、衝撃的な過去が話題となっている。

 アデバヨールは、プロフットボーラーとして輝かしいキャリアを歩んできた。

 トーゴでスカウトにその天賦の才を見出されたアデバヨールは、16歳でフランスの古豪メスの下部組織に入団。2001年にトップチームデビューを飾ると、2002-03シーズンにはリーグ・ドゥ(2部)ながら35試合で17得点をマークした。

 この活躍が評価されて2003年にはモナコへ移籍。ターンオーバー要員だったとはいえ、1年目でチャンピオンズ・リーグ準優勝に輝いた。

 2006年の夏からアーセナルへ移籍してプレミアリーグでの挑戦をスタートさせると、マンチェスター・シティ、トッテナム、クリスタル・パレスを渡り歩き、通算97ゴールを挙げる活躍。2010-11シーズンにはジョゼ・モウリーニョの誘いを受けてレアル・マドリーでもプレーするなど、スターダムにのし上がっていった。

 有力クラブを渡り歩いた実績を見れば、苦労もせずにたどり着いたようにも思われるが、その人生は決して平坦なものではなかったようだ。
 
 現在35歳となったアデバヨールが英紙『Daily Mail』のインタビューで明かしたのは、16歳の頃の話。メツの下部組織に在籍していたにもかかわらずトーゴ代表デビューを飾り、将来有望な若手として期待を集めていた彼が、なんと自殺を図ろうと考えていたという。

 いったいなぜ、アデバヨールは自ら死を選ぼうとしていたのか? 幼少期の生活環境を踏まえつつ語っている。

「僕の住んでいた家は、雨が降れば、すぐに濡れてしまうようなところだった。電気もなくて、キャンドルかランタンを使って暮らしていた。それが人生だと思っていた。だから16歳の時にフランスへ渡って、僕がしたかったのは家族を助けることだけだった。

 ただ、家族が大きなプレッシャーをかけてきたんだ。僕はそれに対処できなかった。貧しい暮らしで飢えてくると、とてつもない連帯感が生まれるんだ。家族のためなら銃も手にするぐらいにね。でも、その分、誰かが皆のことを背負っていかないといけないんだ」

 当時、アデバヨールがクラブから受け取っていた月収は3000ポンド(約42万円)ほどだったが、家族は50万ポンド(約7000万円)相当の家を購入するように求めてきたという。味方であったはずの身内の変貌ぶりに嫌気がさし、「夜な夜な『ここで何をしてるんだろ……』と思うようになっていった」という16歳の少年は、次第に死を考えるようになっていったのだ。

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