すでに実力はJ2トップクラス!岡山のブレイク候補生、仲間隼斗を見逃すな

2019年04月26日 寺田弘幸

ポテンシャル十分のアタッカーは「点を決めていかないといけない」と結果にこだわる

今季は全10試合に先発して4得点。しかし本人は現状にまったく満足していない。(C)FAGIANO OKAYAMA

 10節・徳島戦の仲間隼斗の活躍は圧巻だった。
 
 前半終了間際にペナルティエリア中に侵入すると、深い切り返しで相手DFをかわしてゴール前へ飛び込んできたイ・ヨンジェにボールを届ける。徳島守備陣を切り裂いて同点ゴールをアシストした仲間は、75分にも豪快に左足を振り抜いて決勝点を奪取した。チェ・ジョンウォンのディフェンスラインの背後に送ったパスも素晴らしかったが、「ニアのコースが見えたので、そこにいってくれという感じで打った」。仲間の強い気持ちが詰まったボールは突き抜けそうな勢いでゴールネットに収まった。
 
 1得点・1アシストを記録した仲間は文句なしのヒーローだったが、評価し難いところもある。ハットトリックを記録してもおかしくないチャンスの数を創出した試合だったのだ。イ・ヨンジェと初めて2トップを形成した仲間は20分と33分には"決めないといけない"に属する決定機を逸しており、後半に入って左MFにプレー位置を変えても果敢にゴールへ向かった仲間にとって、多くのチャンスを逃した試合でもあった。
 
 もちろん、チャンスを多く創出していることはネガティブなことではない。ただ、仲間はそこからさらにもう一歩踏み出すために今シーズンをスタートしている。
 
「チャンスを多く作ることは去年の最後のほうもできていた。そこからさらに成長してもっと怖い選手になっていくため、点を決めていかないといけない」
 
 危険度の高いアタッカーへと成長していくため、決定力という難題をクリアしていくため、仲間は徹底して練習に向き合っている。
 
「シュートの瞬間は本当に一瞬のひらめきでもあるから、練習から習慣化していかないといけないと思ってます。もっともっとボールを蹴って感覚を掴んで、クロスに入るタイミングも練習から繰り返しやって掴んでいかないといけない。すぐに結果に表れるとは思っていないんで、本当に何回も何回も繰り返して身体に沁み込ませていきたい」
 

 徳島戦後、仲間の表情は決して晴れやかではなかった。「なかなか決められなくて、もどかしかったというか『決めたい!』っていう気持ちがすごいあった」という。ただ自分の感情をコントロールしながらプレーして得点に結実させ、「チャンスを多く作ることで、こうやって点を取れるんだっていう感覚を掴めてきた。もっともっとチャンスを作っていきたい」とも話している。
 
 仲間はすでに相手に大きな脅威を与えられるリーグ有数のアタッカーだ。「アイツは本当に攻守においてよく走ってくれる。チームにとってすごい助かる選手」とチームを最後尾から支える一森純が言うように、献身性も申し分ない。10試合を終えて4得点と上々の数字を残しているが、「アイツ自身も『もっと決めないと』って言っていたけど、僕もまだ決めれると思いますね」と一森が笑ったように、仲間がもっとゴールを決められるポテンシャルを秘めていることは誰もが認めるところ。今シーズンの岡山の試合を追っていけば、仲間がブレイクスルーしていく過程を目撃できることは間違いないだろう。
 
取材・文●寺田弘幸(フリーライター)
 
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