屈辱のアジアカップで変わった北川航也の基準。2試合連続の決勝点にも「求めているものには程遠い」

2019年04月23日 前島芳雄

北川がこだわっているのは「やるべきことをブレずにやり続けること」

4戦連発の北川は「好調ではない」と自戒の言葉を口にする。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 開幕から6試合勝ちなしで最下位という状況から、ここに来て2連勝。今節のセレッソ大阪戦はリーグ戦でのホーム初勝利であり、初のクリーンシート。清水エスパルスはようやく悪い流れを脱して、本来の力を発揮しつつある。
 
 なかでも22歳の若きエース・北川航也は、公式戦4試合連続ゴール中で、ここ2試合はどちらも決勝点を決めており、復活の立役者となっている。だが、それでもけっして「好調ではない」と彼自身も周囲も口にする。それはどういうことなのか。
 
 C大阪戦に勝利した後、北川本人も「結果は出てますけど、自分の求めているものにはまだまだほど遠いというか……今日はボールタッチ数も少ないし、ミスも目立ってましたし、周りの選手にすごく助けられたと感じています」と語る。
 
 北川から深く信頼されている先輩・六反勇治は「コンスタントに点は取れてますけど、彼自身も今シーズンはなかなか調子が上がらず、まだまだ彼が望むようなプレーができてないというのが正直なところ。でも、自分の立ち位置や調子の悪さを認めながらやっている結果が(今日のような)なかなか入らない角度のゴールにつながっていると思います」と証言する。
 

 確かに、この試合でシュートはチーム最多の3本を打っているが、決勝点以外の2本は可能性の低い形。38分に鄭大世に送ったスルーパスはチャンスにつながったが、その他で目立ったシーンは少なく、本人も言う通りボールに触る回数も多くなかった。
 
 それでも今の北川がもっともこだわっているのは、「やるべきことをブレずにやり続けること」だ。シュートを打てる状況が来たら迷わず打っていく、仕掛けられる場面では恐れずに仕掛けていく、味方へのパスも常にゴールにつながる形を最優先に狙っていく。もちろん、守備でも自分のタスクを忠実にこなすことを忘れてはいない。
 
 そうした彼自身のこだわりのひとつに、ワンタッチのパスやフリックがある。今季はチームとしても少ないタッチのコンビネーションで最後のところを突破するという形を目指しているなかで、今のところ成功する確率は高くないが、それでも我慢強くトライを続けている。
 

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