【湘南】曺貴裁監督からの異例の叱責…愛のムチにホープ・杉岡大暉は応えられるか

2019年04月21日 本田健介(サッカーダイジェスト)

川崎戦ではキャプテンマークを巻いて先発するも…

左ウイングバックとしてスタメン出場した杉岡。ただチャンピオンチームを相手に課題を露呈した。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ8節]川崎2-0湘南/4月19日/等々力
 
「オリンピックと言われていますが、あれだけ取ったボールを相手に渡しているようでは、とてもではないけど世界では戦えない。本人にもそれは伝えました」
 
 川崎に0-1で敗れた試合後、個別の選手に対して異例とも言える苦言を呈したのは、湘南の曺貴裁監督だ。厳しい言葉を向けたのは、この日キャプテンマークを巻いた20歳、東京五輪世代の杉岡大暉である。もっともその叱責は愛情の裏返しでもあった。
 
「これは責任放棄ではないですが、僕たち指導者やもしくはマスコミの方も選手たちのどこが良くて悪いのかを認識して伝えていく必要があります。1か月かけてではなく、1日で良いプレーと悪いプレーを整理して伸ばすようにやっていかないといけません。
 
 世界のサッカーはどんどん進化していますし、CL、ELでは10代、20代前半の子が見違えるように良くなっています。齊藤未月もそうですが、彼らは我々のチームの次の世代を担ってもらわなくてはいけません」
 
 杉岡自身も監督の想いを理解しているからこそ、肩を落としながらも「オリンピック世代だとか、ちやほやされていると言われてしまうとそうかもしれませんが、そのなかで曺さんは本当の自分たちを見てくれています。難しいですが、ありがたいというか……」と気持ちを言葉にする。
 
 主戦場となった左ウイングバックで先発した川崎戦では、相手の素早いプレスもあり、「奪った瞬間に周りをよく見られていなかった」と振り返る。せっかく相手からボールを回収したとしても、判断が遅れ、すぐに失うシーンが目立ったのだ。
 
 ウイングバックとして上下動する運動量や、対人の守備は20歳にしては高いレベルにあると言えるだろう。しかし、課題となるのはクロスを含め、ボールを持って自らアクションを起こす際のプレー精度だ。「自分の判断で打開したり、逆を取ってつないだり、そういうところをしっかりやらないといけない」と本人も修正点を説明する。
 
「もう一度、自分と向き合える試合になると思いますし、これがあって良かったねと言えるようになりたい」
 
 視線を落としながらリベンジを誓ったホープにとって、厳しくも愛ある指導を受けられる今の環境はもってこいの場所と言えるだろう。2020年の東京五輪、そしてその先のカタール・ワールドカップに向け、立ち止まっている時間はない。日本代表の森保一監督も視察したこのゲームを機に成長速度を上げてもらいたい。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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