【現地発】バルサはもはや攻撃偏向のチームではない。あのベティス戦を機に生まれ変わった

2019年04月16日 エル・パイス紙

マンU戦は今シーズンの戦いを象徴

今シーズン、ホームで唯一敗れたのがラ・リーガ第12節のベティス戦だ。4失点はチームに衝撃を与えた。(C)Getty Images

 エルネスト・バルベルデは近年のバルセロナでは異色の監督だ。

 最終ラインから徹底的にパスを繋いでボールを支配し、スペースを見つけながら相手を崩すポゼッションサッカーを実現したジョゼップ・グアルディオラ、敵陣に多くの人数を送り続けることを目的に、中盤の選手にポジションを下げてボールを受ける動きを禁じてアグレッシブなカウンターサッカーを標榜したルイス・エンリケ。この両監督に共通していたのは、その旺盛な攻撃マインドだった。

 とりわけ、センターライン付近の位置まで上げるDFラインの高さとコンパクトな守備陣形はそうしたふたりの戦術志向を雄弁に物語っていた。

 しかしバルベルデには、そこまでのこだわりはない。時間帯や試合展開に応じてハイプレスとリトリートを使い分け、時には引いて守ることも厭わない。

 もちろんリトリートへの比重が高まると、相手にシュートを打たれる機会は増える。しかしバルベルデが重視しているのは、ゴール前の危険なゾーンからのシュートをいかに回避するかという点だ。トータル10本のシュートを浴びながら枠内シュートをゼロに抑えた10日のチャンピオンズ・リーグ(CL)準々決勝・第1レグのマンチェスター・U戦(バルサが1-0で勝利)は、その象徴ともいえる試合だった。
 
 バルベルデがこの戦術転換するきっかけとなった試合が、3-4と撃ち合いに敗れたラ・リーガ第12節のベティス戦だ。試合後、次のような反省の弁を口にしている。

「相手にあまりにも簡単にゴール前にボールを運ばれている。攻撃の場面でも、各自がもっと守備のことも頭に入れてプレーしなければならない。それがボールを失った後の素早い守備への切り替えに繋がるんだ」。

 守備陣の背後を取られた際の脆さを露呈したこのベティス戦を境に、チームが変貌を遂げたのは数字が明確に示している。このベティス戦までバルサは全てのコンペティションを通じて18試合を戦い、そのうち7試合で2失点以上を喫した。それが、以降の32試合では2失点以上は6試合しかないのだ。
 

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