「いつになったら終わるんだ!」イングランド代表DFが絶え間ない“人種差別”に悲痛な叫び

2019年04月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

「正直、厄介なものにオサラバしたいんだ」

トッテナムでもイングランド代表でも不可欠な存在のローズ。長年に渡って人種差別的な野次に苦しめられてきた。(C)Getty Images

 イングランド代表DFの悲痛な叫びが波紋を広げている。トッテナム・ホットスパーの左SB、ダニー・ローズの激白だ。

 現在28歳、プレミアリーグを代表するダイナモ。名門リーズ・ユナイテッドのアカデミーで英才教育を施され、17歳でトッテナムに移籍。すぐさま頭角を表し、若くしてレギュラーの座を射止めた。イングランド代表としても活躍中で、これまでに26キャップを刻んでいる。

 そんなローズが図らずも脚光を浴びたのが、先のユーロ2020予選での事件だった。

 3月25日に行なわれた敵地でのモンテネグロ代表戦。イングランド代表が5-1の大勝を収めたゲームで、ローズはラヒーム・スターリング、カラム・ハドソン=オドイらとともに地元ファンから聞くに堪えない人種差別的な野次を浴びせられた。とりわけ酷かったのが、ローズに対してのそれだ。イエローカードを受けた際、サルを真似たチャントが歌われたのである。

 試合後、ガレス・サウスゲイト監督をはじめとしたスタッフやチームメイトは怒りを露にし、FA(イングランド・サッカー協会)がUEFA(欧州サッカー連盟)に対して厳格な調査を依頼するなど、大問題に発展した。

 一連の騒動のなか、ローズが重い口を開いた。英紙『Mirror』でその苦しい胸の内を明かしたのだ。

「僕はもう十分に(屈辱を)味わってきた。いったいいつになったら終わるんだ! 僕のキャリアはあと5年か6年というところだろう。それまではフットボールをできるかぎり楽しみたいと思う。でも一方で、フットボールのピッチには政治的なものを含めていろんなものが散在している。正直、そうした厄介なものに早くオサラバしたいんだ。いまはただ、その日が待ち遠しい」

 同紙はこの言葉を受けて、「ローズはフットボールにおける人種差別にマイっている。彼は早く引退したいとさえ考えているのだ」と銘打ち、その心中をおもんぱかった。

 
 FAとプレミアリーグは人種差別撲滅のために積極的なアクションを続けており、ひと昔前に比べれば世界規模でのキャンペーンも随時展開されている。それでも、スタンドから心無い野次や暴言は一向になくならない。スターリングはモンテネグロ戦後、「どの国であっても、ファンが人種差別の野次をしたら、誰も試合を観にこられないようにスタジアム全体に処分を下すべきだ」と持論を述べ、「そうすれば、処分が終わった時に、ファンは考え直すようになるはずだ。彼らはフットボールが好きで、母国の試合を観たいと望んでいる。あんなバカなことをする前に、きっと考えをあらためると思うんだ」と問題提議した。

 ローズに対してはSNSやクラブ公式サイトなどを通じ、励ましのメッセージが世界中から届いているという。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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