槙野智章が称える久保建英の強靭なメンタリティ。「一緒にできれば」とA代表入りに太鼓判

2019年03月30日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

センスとテクニックに、天性のものを感じさせた

槙野は久保のプレーを称賛していた。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ5節]浦和1-1FC東京/3月30日/埼玉スタジアム2002
 
 浦和にとって、もっとも脅威となったのは、17歳の久保建英だった。
 
 DF槙野智章は「久保選手が入って、間で受けられる回数が多くなった。ゴールに向かうプレーも彼の特徴ですし、本当に素晴らしい選手だなと改めて思いました。彼のポジショニングとボールの受け方は、僕らディフェンス陣にとって怖さはありましたね」と振り返っている。
 
 途中出場でピッチに立った久保が特大の輝きを放ったのは、75分。ピッチ中央から前方のディエゴ・オリヴェイラに出したパスはうまくつながらなかったが、すかさずルーズボールを拾い、DFの背後へと絶妙なスルーパスを放つ。東慶悟のクロスとそれに合わせたD・オリヴェイラの先制点の起点となった。
 
 とりわけ素晴らしかったのは判断力だ。大きくバウンドしたボールをヘディングで触れようとしながらも、横目で東が走り抜けていくのを見た久保は、頭で触れることをやめてすぐさま足もとへのパスに切り替えたのだ。瞬時に最善のプレーを選択し、淀みない動作でそれを実現するセンスとテクニックに、天性のものを感じさせた。
 
 左サイドを駆け上がってきた東に正確なクロスを上げる余裕を与え、D・オリヴェイラのヘディングシュートを生み出したのは、久保のこのワンプレーだったと言っても決して過言ではないだろう。

 さらに77分には、右サイドをワンツーパスとドリブルで打開し、針の穴を通すようなスルーパスをエリア内に走り込んでいた東に届けている。惜しくもオフサイドの判定となったが、このプレーもハイレベルで、スタジアムを沸かせた。
 
 リオネル・メッシにも似た、身体の重心がブレないドリブルは傍目から見ても、キレの鋭さが伝わってくる。槙野も「あまり僕は対峙していないので分からないですけど、ただ足は出しにくいだろうなと。身体の使い方もうまかった」と舌を巻くほどだ。
 
 さらに槙野は「なによりもあの年齢で、この雰囲気で、たくさんのメディアに掻き立てられているなかで、しっかりとプレーできるのは凄い」と、堂々したメンタリティも称賛している。
 
「A代表で一緒に出来ればいいと思う。森保さんのやり方にはまるだろうし。今の代表は若い選手がしっかり試合でチャンスをもらえる。そういう時間だったり空気だったりがあるので、ぜひそういう上のレベルで見てみたいというのはあります」
 
 現役の日本代表DFにも太鼓判を押された久保は、ビッグサプライズを起こすのか。少なくとも浦和戦で見せたパフォーマンスは、A代表入りへの好アピールとなったはずだ。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
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