これでは大迫が戻ってきても…森保ジャパンが露呈した致命的な欠点

2019年03月27日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「触れば1点」をどう作り出すか

2試合で1ゴールに終わった森保ジャパン。最後の30メートルでの質の向上が求められる。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2019]日本 1-0 ボリビア/3月26日/ノエビアスタジアム神戸

 後半アディショナルタイムだった。

 左サイドをオーバーラップした佐々木翔が中島翔哉からいいタイミングでパスを受ける。目の前に相手はいない。いわゆるフリーの状態で供給したクロスは、しかしまったく味方のいないニアサイドに送り込まれ、簡単にクリアされてしまう。

 佐々木が安西幸輝に代わって左SBに入ったのは73分。試合の終盤で疲れていたわけではない。

 その安西も交代直前の69分、いい攻撃参加を見せたが、堂安律へ送り込んだボールが合わなかった。安西本人が「アグレッシブさは出せた。ただ、最後のクロスが合えばもっと(自分を)評価できたんですが……」と反省を口にしたように、クロスにズレが生じる場面が散見された。

 4日前のコロンビア戦でもそんなシーンが何度か見られた。例えば、24分に右サイドを駆け上がった室屋成が堂安律からいいタイミングでパス受けた場面。崩しの形としては理想的だったが、肝心のクロスが南野拓実にまったく合わず、シュートにすら繋がらなかった。
 

 かたやコロンビアはどうだったか。開始4分、ハメス・ロドリゲスから左サイドでパスを受けたルイス・ムリエルが送り込んだ鋭いクロスはそれこそ絶妙で、GKとDFの間をすり抜けたボールはセバスティアン・ビジャにピタリと合った。シュートがバーに当たってゴールにはならなかったとはいえ、ビッグチャンスを作り出している。

 このクロスこそ、日本が磨くべき武器ではなかろうか。身体が大きくなくても、その精度やバリエーション次第で「触れば1点」というチャンスを作り出せるからだ。コロンビア、ボリビアとの連戦で露呈した、とりわけ両SBの「クロス精度の酷さ」は致命的な欠点と言えるだろう。

 ターゲットとなる大迫勇也がいなかったというエクスキューズはあるかもしれない。ただ大迫にしても、フィジカルを活かして、アバウトなボールをゴールにねじ込むようなタイプではない。クロスが正確さを欠けば、宝の持ち腐れだ。

 もちろん、今回は招集外だった長友佑都と酒井宏樹が両SBに復帰すれば、改善は見られるだろう。ただ、ボリビア戦で右SBに入った西大伍を含め、この3月シリーズでピッチに立った4人のSBからは、クロスで決定機を作り出す可能性は感じ得なかった。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事