【日本代表|采配検証】二度の“二枚替え”の是非。たしかに閉塞感は打破できたが…

2019年03月27日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

新旧世代のミックスに費やす時間は少なすぎた印象

61分、宇佐美(11番)に代えて堂安(中央)、乾との交代で中島(左)を投入して、両翼を一気に二枚替え。攻撃は活性化されたが、どこか“もったいない”采配だった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2019]日本 1-0 ボリビア/3月26日/ノエビアスタジアム神戸
 
 61分だった。森保一監督はこの日、最初の交代カードを切る。
 
 しかも同時に2枚。2列目左サイドの乾貴士に代えて中島翔哉、同じく2列目で右サイドの宇佐美貴史との交代で堂安律をピッチに送り出した。
 
 この時点でスコアは0-0。序盤から日本がペースを握り、前半のシュート数も上回るなど押し気味に試合を進めていたが、決定的なシーンは数える程度だった。
 
 ボールは動かせていたが、あと一手が足りない。香川真司を含めた乾、宇佐美らスタメンに名を連ねた攻撃陣の"トリオ"について、指揮官も「相手の嫌なところにボールを動かしたり、左右に揺さぶったりしてくれた」と評価したものの、日本の攻撃はどこか単調さが拭えず、粘り強く守るボリビアを相手に攻めあぐねていた。
 
 そんな閉塞感を打破するために、両翼を一気に変える交代策はそれなりに効果があった。前への推進力がある中島、堂安の両アタッカーは、緩慢だったリズムをテンポアップさせて攻撃を活性化させていた。
 
 このポジティブな流れは、68分の南野拓実(香川との交代)、柴崎岳(小林祐希との交代)の投入でさらに加速し、76分の中島の決勝点につながる。ピッチ中央で相手のパスミスを拾った堂安が持ち上がり、前を走る南野に預ける。その南野から相手のエリア内でパスを受けた中島は、ワンフェイクを入れて対峙するDFの態勢を崩した後に右足をコンパクトに振り抜き、ゴールネットを揺らした。
 
 途中出場させた選手たちが停滞ムードを払拭し、さらにゴールまで奪っただけに、森保監督の采配は見事にハマったと言っていいだろう。とりわけ中島、南野、堂安ら森保ジャパンを象徴する"新ビッグ3候補"が、期待に応えるパフォーマンスを見せたのは事実だ。
 
 もっとも、世代交代の旗手でもある彼ら3人が組んだ時の息の合った連係が、一定の成果を生み出せるのはすでに実証済みだ。それよりも、次世代を担うべきタレントたちと、"ロシア組"である香川や乾、宇佐美らを「融合」させる時間をもう少し設けたほうが、組み合わせの相性など、今後につながる様々な発見があったのではないだろうか。
 
 そうしたテストはコロンビア戦でなかったわけではない。南野と香川の前線での縦関係や、乾と中島に両翼を任せる試みはあった。それでも、新旧世代のミックスに費やす時間は少なすぎた印象で、今回は香川や宇佐美、小林ら実力者たちが森保ジャパンで初招集だったことを踏まえれば、実に"もったいない"采配だったとも感じる。
 
 カタールに1-3で完敗したアジアカップ決勝、さらに先述のコロンビア戦も0-1で敗れているだけに、このボリビア戦の1-0の完封勝利で連敗をストップできたのは悪くない結果だった。ただ、陣容の肉付けという意味では、物足りない3月シリーズだった。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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