【釜本邦茂】自分から点を取りに行こうとしたのは中島だけ… こんなサッカーで世界のトップ10入りは不可能だ

2019年03月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

みんな無難なサッカーをしているようにしか見えなかった

ボリビア戦で途中出場の中島は、自らの果敢な仕掛けから1ゴールを挙げた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 キリンチャレンジカップの第2戦、ボリビア戦はなんとも消化不良の感が否めない試合だった。60分以降、交代選手を投入するまで何の変化もない単調な攻撃を続けていて、ゴールが入る予感がほとんどしなかった。日本が圧倒的にポゼッションで上回ったゲームだったと思うけど、その割には相変わらずゴール前で、自ら仕掛けようとする選手も少なかった。そんな意欲のある選手は中島くらいだった気がするね。
 
 宇佐美にしろ、鎌田にしろ、さらには香川にしろ、先発した前線の選手たちはいったい何をしたかったのか。私にはその意図がよく分からなかったよ。もちろん、鎌田はいまベルギーでゴールを挙げているのは知っているし、宇佐美だって仕掛けて相手をかわす技量があることは分かっている。ただ、なんでそれを積極的に出そうとしないのか。
 
 厳しいようだが、私にはみんな無難なサッカーをしているようにしか見えなかったね。70点から80点くらいの点数でいいや、という感じのサッカーだ。そんなサッカーをしてどうするんだ? 自分のところでボールを奪われなければ、それでOKなのか? ゴール前20m前後のペナルティエリア付近で点を取りに行くんだという強い気持ちで何かを起こしそうな予感があったのは、正直に言って中島だけだったよ。
 
 中島は常にシュートを打つという意思を持ってプレーしているから、ペナルティエリア付近の危険なエリアにも果敢に飛び込んでいく。もちろん成功ばかりではなくて、相手に止められることもあるけど、そういうチャレンジがその後の成功につながるし、敵にしても中島のような選手は嫌らしく感じるはずだ。実際に、何度かシュートまで持ち込んで積極性を見せた中島は、75分にカットインから見事なシュートを決めている。求められるのは、そういうチャレンジをやめない姿勢だと思うよ。
 
 一方で香川はこうした若い連中のなかで、より若手の良さを引き出そうとしていたようだけど、もっと声を出して周りを動かしていかないと、リーダーシップはとれないよ。ボリビア戦は、中島の積極性ばかりが印象に残った試合だったね。
 

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