【岩政大樹の戦術解析】スタメン総入れ替えのボリビア戦で「最後の3分の1」を崩しきれなかった理由

2019年03月27日 岩政大樹

ボリビアは予想に反して1トップ気味で守備をしてきた

香川ら前線の意思疎通が不十分でボリビアの守備を崩しきれなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 森保ジャパンはボリビアを下し、連敗をストップ。6月まで空くことになる代表期間を前に勝利できたことは良かったと思います。
 
 ただ、決して良い内容とは言えない試合でした。昨年に見られていた躍動感は影を潜め、いかに攻め、いかに得点するのかの画はこの日もあまり浮かび上がってきませんでした。
 
 それを引き起こしたのは、ひとつはボリビアの戦い方の変化がありました。ボリビアは今年監督が変わり、スタートは一貫して4−2−3-1のシステムを採用しています。日本戦もそれは同じでしたが、違ったのはトップ下に入る選手の特徴です。これまでは技巧派の20番R・バカ選手が務めていましたが、この日はこれまでボランチを担っていた14番のカストロ選手を一つ上げて使ってきました。加えて、ボランチに15番のバルガス選手と7番のフスティニアノ選手という守備を引き締められる2選手を起用。中盤の真ん中3枚を守備から人選したことにより、日本としては本来の狙いである縦パスからの攻撃を打ち込みづらい状況となっていました。
 

 それに対し、日本の選手たちはボリビアの中盤5枚をどう突破していこうかと探りながらの前半となりました。きっと2トップ気味の守備の形をとってくることを予想していたはずで、予想に反して1トップ気味で守備をしてきたボリビアの守備陣形への侵入の仕方を、戦いながら意思疎通していくことを求められました。
 
 まず解決策を提示していったのは乾選手。逆サイドにボールがある時には外に張り出し、同サイドにボールがある時には内側に侵入して畠中選手からの縦パスを呼び込みました。しかし、特に逆サイドからのサイドチェンジを受けた時に呼応して動き出す選手が現れず、相手守備陣の間を崩していくところまでは到達できませんでした。
 
 後半に入り、宇佐美選手も右に張り出す回数が増えました。ボランチの配置も右に小林選手、左に橋本選手と逆にし、加えて、右サイドバックの西選手が少し内側でボールを受けようとポジションを取ることで攻撃のルートを変え、相手を内と外で惑わせて攻略していこうと試みました。それは後半の立ち上がりに一定の効果を生んだと思いますが、その変化に対してもボリビアの守備が慣れてきたところで、森保監督は交代によって変化をさせていきました。
 

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