【松木安太郎】負けている時の”切り札”がいない。森保ジャパンの課題はアジア杯から棚上げのままだ

2019年03月23日 松木安太郎

僕が監督なら「もっと仕掛けろ」と声をかけたと思う

途中出場の選手に求められるのは流れを変える仕事だ。その意味で、香川は十分な働きをしたとは言えない。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 残念だったね。0-1で負けたコロンビア戦のことだ。南米の強豪・コロンビアとは、ロシア・ワールドカップ以来の再戦。あの時は開始早々に相手が退場者を出して2-1で勝ったけど、11人同士で戦った今回はゴールが奪えずに惜敗した。相手は監督交代直後の試合だし、ワールドカップのリベンジも含めて「絶対に勝つ」という強い意気込みがあったようだ。その意地に負けた感じだよ。
 
 前半は日本のペースだったよね。中盤でボールを奪って速攻を仕掛け、中島や南野あたりが積極的にミドルシュートを放っていた。A代表初出場の鈴木にも惜しいチャンスがあったし、守備も昌子を中心に組織がしっかりしていて、個人能力に長けたコロンビアをよく抑えていたと思う。
 
 でも、後半になると、一転して試合の主導権が相手に移った。その理由は、コロンビアがスペースへのパスを増やしてきたからだろう。クロスのタイミングにしても早かったし、日本の守備が整う前に攻め切ろうという姿勢が見えた。そこにある程度耐えたのは、日本の良い部分だったんじゃないかな。
 

 ただ、日本は攻撃面で明らかに物足りなかった。特に気になったのは、1点リードされた後の出来だ。点を取り返さないといけない展開のなかで、攻撃にまったく変化を加えられなかったんだ。
 
 途中出場の香川にしても、ロングフィードでのサイドチェンジが目立ったよね。あのプレーは、あの局面での交代選手に求められるものではないよ。それまでグラウンドにいた選手の仕事とそれほど変わらなかったからね。中盤でボールをさばくのは、柴崎に任せればいいんだ。
 
 香川に求められていたのは、コロンビアの守備を揺さぶるような、もっとアグレッシブな仕掛けだ。ディフェンスからすれば、それまでと同じプレーをしてくる相手だったら同じ対応をしていればいいだけ。おそらく、コロンビアはたいして苦労しなかったはずだよ。香川が森保監督からどんな指示を受けたかは分からないけど、少なくとも僕が監督なら「もっと仕掛けろ」と声をかけたと思う。
 

次ページ攻めのバリエーションや迫力が足りないのは、戦術というより選手の個性の問題

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