【U-17代表】W杯まで約7か月。なぜ、指揮官は西川潤らの主軸を合宿に呼ばなかったのか

2019年03月21日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

「秋のワールドカップだけではない」と森山監督が伝えた真意は?

最終日はあいにくの雨。それでも懸命にアピールした選手たちに、森山監督は笑顔を見せた。(C)SOCCER DIGEST

 3月21日、U-17日本代表は福島県のJ-ヴィレッジで行なっていた合宿を打ち上げた。
 
 今秋のU-17ワールドカップを目指すチームは18日から4日間の日程でトレーニングを実施。19日に設けられた流通経済大との練習試合は0-4で大敗したものの、森山佳郎監督は今年2度目の活動を有意義に過ごせたという。
 
 今合宿は、U-20代表の欧州遠征に参加しているエースの西川潤(桐光学園/2年)が不在。さらに名を連ねた面々のほとんどが、昨秋のU-16アジア選手権を経験していない。それでも実りある合宿になった理由として、指揮官は新たに招集した選手たちの姿勢を挙げた。
 
 もちろん、選手たちの経験値は浅く、森山監督もいきなり多くのことを求めているわけではない。見たかったのは、貪欲に吸収しようとする姿勢やハートの部分だった。さらに指揮官は今回の世界大会がすべてではないと考えている。全力で勝利を目指すものの、「(秋の)ワールドカップだけではなく、この後もサッカー人生は続いていく。少しでもいい刺激を与えて、もっと成長速度を上げていかないとダメだというのを発信したかった」のだ。
 
 今回招集された選手たちがどんなパフォーマンスを見せるのか。そして、「成長したい」という欲をどれだけ示せるか。最終日に行なわれた紅白戦では、随所にそうした想いが見られるゲームとなった。
 
 そこかしこで激しいバトルが展開され、選手たちは生き残りを懸けて意欲的なプレーを披露。懸命にボールを負い、球際では果敢に勝負する姿が目立った。その取り組みを見て、指揮官も「まだまだ要求に応えられない部分がある。だけど、こっちの要求をポジティブに捉えて、貪欲に向上していく姿勢がいつも来ている子よりもあった。ここで爪痕を残したい、成長したいという意欲は感じ取れましたね」と頬を緩ませた。
 
 実際に初招集となった189センチの大型CB神橋良汰(川崎U-18/1年)は、持ち前の高さと正確なフィードで存在感を発揮。「190センチぐらいあって、左利きで面白い。アスリート体形をしているし、スピードなどはこれからだけど、すごく期待をしている」と森山監督も高い評価を与えた。
 
 そうした彼らのプレーはコアメンバーにも伝染し、昨秋のU-16アジア選手権で優勝に貢献した荒木遼太郎(東福岡/2年)や近藤蔵波(C大阪U-18/1年)は攻守で躍動。持ち前の技巧だけではなく、泥臭いプレーでチームに貢献する意識が各所で見て取れた。
 
 本大会までは約7か月。選手たちはどんな成長を見せるのか。手応えを掴んだ森山監督は選手たちにさらなる成長を促し、代表の場で再会できるのを心待ちにしている。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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