【浦和】痛烈なブーイングと渇望したゴール… 杉本健勇は古巣相手のPKにどう向き合ったか?

2019年03月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

移籍後1本もシュートを打てず「慎三くんに『やっと打ったな』と言われて(笑)」

かつての本拠地で袂を分かったサポーターに挨拶。ゴール裏から届いたのは、歓声とブーイングが入り混じった反応だった。写真:川本学

[J1リーグ4節]C大阪1-2浦和/3月17日/ヤンマー
 
 容赦ないブーイングを浴びながら、浦和の杉本健勇は助走に入った。1-1の82分、逆転の絶好機として迎えたPK。C大阪のGKキム・ジンヒョンの動きを見定め、冷静にゴール左へ流し込むと、歓喜を爆発させる浦和のチームメートが駆け寄ってきた。だが、杉本自身はうつむき加減で喜びを噛みしめた。これが移籍後初ゴールだったにもかかわらず――。

 
「セレッソに対してのリスペクトがあるし、感謝の気持ちや敬意もあるので。"もっと喜べよ"と周りには言われたけど、ゴールを決めても、そういう感じにしようと思っていた。点を決めたら、いつでも嬉しいんですけどね」
 
 育成組織から育ったC大阪に別れを告げ、浦和へと完全移籍したのが昨オフ。以前に所属した東京Vと川崎ではC大阪とカテゴリーが違ったため対戦はなかったが、今回は同じJ1ということで、古巣との一戦が実現した。しかも、幼少期から憧れ、長くホームとしてプレーしてきたヤンマースタジアム長居が舞台。試合前からブーイングを浴び、始まってからもボールを持つたびに標的にされた。
 
「(ブーイングは)予想していたし、それは仕方のないこと。個人的には、ここで本当に多くを学んだというか、小さい時から育ったセレッソだったんで。すごく感謝もしているし、相手チームとしてこのピッチに立つのは初めてだったんで。なんて伝えたらいいか分からないけど、試合中も不思議な感じがしていた」
 
 かつての庭で、慣れ親しんだユニホームを着た相手に向かっていく。妙な違和感は拭えなかったものの、それ以上に結果を欲していた。浦和に加入し、キャンプから興梠慎三と主力組の2トップを形成しながらも、開幕からノーゴールが続いていた。しかも、シュートは0本。ACL・ブリーラム戦からスタメンを外れ、これが公式戦4試合ぶりの先発起用だった。
 
「レッズに来てからシュートを1本も打てていなかったから、今日は絶対に打たなあかんと思っていた。(56分に)シュートを打った瞬間、慎三くんに『やっと打ったな』と言われて(笑)」
 

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