【鹿島】内田篤人が考える一番の“楽”と“嫌”。さらに求める次の一手、二手について

2019年03月18日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

試合巧者らしく老獪な戦いぶりで勝点3を得る

札幌戦はフル出場の内田。攻守両面でクレバーに振る舞い、身振り手振りを交えて周囲に指示を出す姿も。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第4節]札幌1-3鹿島/3月17日/札幌ド
 
 3-1で完勝した札幌戦で、鹿島はボールをつないでくる傾向にある相手に対し、割り切った戦いに徹した。
 
 もちろん、前半の早い段階で伊藤翔が2得点し、優位性を保ってゲームを進められたのは大きかった。内田篤人も「翔の2点があって、楽になった」と話す一方で、「こうやってちゃんと引いて、カウンター狙いっていうサッカーをすれば、ハマる。ちゃんとできるっていうか」と手応えを口にする。
 
 敵の鈴木武蔵は、「鹿島の引いたブロックをなかなか崩せずに、相手のカウンターが鋭いということもあって、鹿島の強い部分が出た試合だった」と悔しさを滲ませる。鹿島は、まずは守備に重きを置いて札幌の攻撃を受け止め、いなしながら、チャンスをうかがった。攻撃に出た時は、難しいことはせず、1本のパスを正確に前線やサイドに通して、そこからスピーディに仕掛けてゴールを奪ってみせた。
 
 内田は「楽だよね。連戦をやるにはこれが一番、楽だよ。戦い方的には」とも語る。ましてや、札幌はポゼッションに優れるチームだ。自ずと自分たちが取るべき手段は明確になる。「相手がパスを回して、疲れて走って、俺らは一発カウンターで、みたいな」と内田は簡潔に説明する。さらに、独特の言い回しで、こう続ける。
 
「どっちかというと、(自分たちは)走る方向が縦だけ。行くだけだから。向こうは、来て、戻らなければいけない。"戻る戦い"はキツい」
 
 札幌はまさに"戻る戦い"を強いられたのだろう。「今のサッカーはコンパクトなんで。だから、なるべく相手を引き寄せて、ディフェンスラインがばって来た時に、一発裏とか」を狙えば、前に出てきた相手は戻らざるを得ない。自分たちは重心を低くしつつ、最終ラインでなんでもないようなパスを根気よくつないで、食いついてきた相手が陣形を崩した瞬間を突く。DFならではの視点としては、内田は「パスサッカーも多いけど、守っているほうとしては、追いかけていって裏(を狙われる)っていうほうが一番嫌」だとも言う。
 
 相手を誘い出すように、自分たちはつり出されないように。札幌戦は、試合巧者と言われる鹿島らしい老獪な戦いぶりで、勝点3を手繰り寄せた。
 
 とはいえ、こうした割り切った堅守速攻だけに頼っているわけではない。「セットプレーとかで先に失点したり、シュートが入らないとかあるから」と、常にうまく行くわけではないと内田は憂慮する。「そういう時にどうするか。戦い方を変えるのか、途中交代で入ってくる選手が(悪い)流れを"ぶっ壊して"くれるのか。いろんな方法があると思う」と、様々な可能性について言及する。
 
 いかなるシチュエーションに陥っても、勝利への道筋を立てられるように準備しておく。次の一手、二手を懐に隠して試合に臨む。「まだ始まったばかりですよ」。背番号2が先頭に立って戦う今季、常勝軍団はどんな引き出しを用意して、臨機応変に振る舞えるようになるのか。その進化と成長が楽しみだ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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