日本代表初招集、鎌田大地はいかにしてベルギーの地で飛躍を遂げたのか

2019年03月16日 中田徹

工夫と成功・失敗の繰り返しのなかから

入団1年目でゴールを量産し、得点ランクで上位に付ける鎌田(右)。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。(C)STVV

 アジアカップが終わった直後のことだった。鎌田大地に日本代表への想いについて尋ねると、こんな答が返ってきた。

「日本代表入りを目標にしています。STVV(シント=トロイデン)で活躍すれば、いつか入ることができると思います。だけど、自分が見ているのはもっと先のこと。代表に入ることはもちろん大事ですが、STVVでどれだけ良いプレーをして、良い結果を残せるか――。そのことによって、来シーズンの自分がどこでプレーするか、変わってくると思います」

 この言葉から1か月半後、鎌田は晴れて日本代表3月シリーズのメンバーに招集された。前所属のアイントラハト・フランクフルトでは出場機会に恵まれず、今季からSTVVで欧州でのやり直しを誓った鎌田は、ゴールへの意欲を露にしながら、ここまで12ゴールを積み重ねてきた。Daichi Kamadaの名前は、ベルギーリーグ得点ランキング5位のところに載っている。MFとしては最上位だ。

 ともすれば順風満帆に見えるベルギーでの鎌田だが、昨年末と今年、調子を崩した時期があった。

 ヨーロッパでフルシーズン、試合に出続けるのは、鎌田にとって初めての経験。こうした調子の浮き沈みは、あって当然だろう。むしろ、逆境は自身のプレーを広げるチャンスとも言える。2週間前のクラブ・ブルージュ戦後、鎌田が明かしたのは、「味方からのラストパスをいかに引き出すか、いろいろ工夫している」ということだった。

「後半、(ヨアン・)ボリからパスをもらってシュートを撃ったシーンですが、いままでだと斜めに走っていたところを、今日は膨らむようにして走ったらボールが出てきました」

 成長というのは、こうした工夫と成功・失敗の繰り返しから生まれるのだろう。

 
 前節のムスクロン戦で、鎌田は15分に5試合ぶりのゴールを決めると調子を上げていき、相手ディフェンス背後へのフリーランから決定機をいくつか作っていた。なかでも68分、味方のロングキックから相手ゴール前に抜け出し、ロビングシュートとヘディングシュートを連続して放ったシーンは、今季の鎌田の良さが存分に出ていた。厳しい見方をすれば、"今季の鎌田は1試合複数ゴールがまだない"のだが、動きの質、コンディションの面では、本来の調子に戻ってきた。

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