【番記者通信】モイーズに運命のホーム3連戦|マンチェスター・U

2014年03月15日 マーク・オグデン

サー・アレックスは、モイーズを後継者に指名した決断を後悔?

3月16日のリバプール戦から始まるホーム3連戦は、ユナイテッドとモイーズにとってまさに正念場。笑顔で終えられるか、それとも……。 (C) Getty Images

 3月上旬、アレックス・ファーガソン前監督の言葉が、世界中に伝えられた。なかなかチームを軌道に乗せられない後継者のデイビッド・モイーズについて、“サー・アレックス”が次のように話したのである。

「マンチェスター・ユナイテッドは問題ない。いまは大きな変革期にあり、モイーズには時間が必要だ。私だって27年もいたんだ。モイーズなら大丈夫」

 ここからは推測の話になるが、談話を聞いたモイーズ監督は、少なからず不安を覚えたのではないか。というのも、白星から見放されている監督に対し、オーナーやクラブ幹部が支持を表明するのは、不吉な前兆である場合が少なくないからだ。実は我慢の限界に達しつつあるのではないかと、私は御大の言葉を懐疑的に受け止めた。

 昨年5月に勇退して以降、ファーガソンが公の場でコメントを発する機会はほとんどなかった。もちろん、口を開ければ「モイーズ支持」の立場を明確するが、はたして本心から出ている言葉なのか。あるいは、モイーズを後継者に指名した決断に後悔しているのではないかと、私は疑いの目を向け始めている。それほどまで、ユナイテッドの不振は深刻である。

 FAカップ、リーグカップともに敗れ去り、チャンピオンズ・リーグ(CL)も決勝トーナメント1回戦での敗退が目前に迫っている。6位に低迷しているプレミアリーグの現状から判断すれば、来シーズンのCL出場権を逃す覚悟も必要だろう。このまま終われば、モイーズ政権の1年目は「失意の年」として人々に記憶されるはずだ。

 注目は、16日のリバプール戦から始まるホーム3連戦。オリンピアコス戦(CL)、マンチェスター・シティ戦と続くビッグマッチにことごとく敗れるような失態があれば──。来シーズンに向け、ファーガソンは改めて後継者探しに動き出さなければならなくなるかもしれない。

【記者】
Marc OGDEN|Daily Telegraph
マーク・オグデン/デイリー・テレグラフ
英高級紙で最大の発行部数を誇る『デイリー・テレグラフ』のユナイテッド番を務める花形で、アレックス・ファーガソン前監督の勇退をスクープした敏腕だ。他国のサッカー事情に通暁し、緻密かつ冷静な分析に基づいた記事で抜群の信頼を得ている。

【翻訳】
田嶋康輔
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事