3戦未勝利の磐田が直面する危機――退場者を出す前から守備の危うさは漂っていた

2019年03月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

「自分も含めてほとんどが後手で後ろ向きにカバーに走る状況だった」と新里は反省の弁。

大久保が下がってゲームをコントロールする場面もあったが、数的不利のなかでは、やはり厳しかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ3節]磐田1-2大分/3月9日/ヤマハ

 13分の失点、30分のDF大南拓磨の退場で早くにハンデを背負った戦いとなってしまったジュビロ磐田。「立ち上がりはうまく攻めることができた」と右SBの松本昌也が言うように、序盤は攻勢に出た。SBがインサイドを攻め上がる今季の狙い通り、松本がペナルティエリア脇まで侵入して川又堅碁にクロスを送る決定機も。また、前節同様に大久保嘉人がトップ下からボランチの位置まで下がり時間を作る間に、松本や左SBの小川大貴が外から中に入り攻めに加担する場面も見られた。それだけに、失点とアクシデントによりゲームが難しくなってしまったことが悔やまれる。
 
 しかし、その前から、押し込む一方で守備の危うさが露呈していたことも事実だ。
 
 ボールを奪うとカウンターで背後を狙う。遅攻の場合は後方からパスを繋ぎ、相手選手を引きつけてから一気に裏を突く。ウィングがワイドに張りボランチやシャドウが加担してサイドで数的優位を作ってクロスを送り、FWが中央から裏へ抜け出し崩す――。大分の狙いは明確で、攻守とも連係は終始スムーズでスピーディだった。磐田がサイドで劣勢に回り空いた自陣のスペースを突かれてフリーでクロスを上げられ、ゴール前に鋭く抜け出す藤本や後藤の動きでチャンスを作られたのは、先制点の場面だけではない。

「背後に飛び出してくるのは、相手のメンバーの特徴からしても分かっていたなかでやられてしまった。自分たちが相手にボールをサイドに蹴らせるようにしていたのなら問題はないけど、そうではなく、自分も含めてほとんどが後手で後ろ向きにカバーに走る状況だった。相手選手が5枚並んで攻めてくるなかでSBが上がるのが難しくなってしまった。前半から前線の選手に相手ボランチをケアしてもらって、サイドハーフの選手が幅広く守れるようなオーガナイズをしないといけなかった」と、自身も度々サイドにつり出されたCBの新里亮は反省の弁。

 松本も、「高い位置で張る相手のワイドに対して4バックがスライドすることで大外が空いてしまった。そこはしっかりロド(リゲス)やアダ(イウトン)を戻さないといけなかった。(大久保)嘉人さんが下がって中央でリスクをかけ、うまく真ん中で相手を剥がして外に展開すればチャンスになるという意識でやっていたが、ボールをロストしないことが前提。中央でボールを奪われてカウンターを受けると苦しいし、自分もリスクマネージメントをしながらもう少し低い位置から出て行くなど、タイミングを見極めなければいけない(攻撃時に)密集している分、守備に回った瞬間に相手の縦パスや広い展開を阻止できるよう切れ替えのスピードも上げないといけない」と、現状の課題を語った。

次ページ試合中の臨機応変な対応が苦境から脱出する鍵だ。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事