【横浜】川崎相手にも「同じ目線でプレーできた」天野純が語るチームの確かな成長と進化

2019年03月12日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「正直、もっともっとできたと思う」

最後のCKで扇原の同点弾を演出した天野。試合を通じては、確かなテクニックと戦術眼でチームの攻撃を牽引した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第3節]横浜2-2川崎/3月10日/日産ス
 
 1点ビハインドで迎えたラストワンプレーのCK。横浜は劇的な同点ゴールを奪ってみせる。キッカーの天野純の左足から繰り出されたボールを、途中出場の扇原貴宏が打点の高いヘッドでねじ込む。最終スコアは2-2。土壇場で最低限の勝点1をもぎとった。
 
 開幕2連勝で迎えた川崎との神奈川ダービーで、"3連勝"は達成できなかったとはいえ、最後の最後で追いつく粘り強さを見せた。ポジティブな引き分けと言っていいだろう。
 
 ただ、結果よりも、その内容に小さくない手応えを掴んだはず。横浜も川崎もポゼッションに重きを置き、主体的にアクションを起こす攻撃サッカーを標榜する。その意味では、横浜にとって今の自分たちの実力を推し量るには、川崎は格好の相手だったのではないだろうか。正確なキックで千金に値する同点弾を演出した天野は、次のように試合を振り返る。
 
「少し前までは、(川崎を)リスペクトしすぎて、引いたり、ちょっとプレッシャーをかけられたら、ボールをつなげなかったりと、同じ目線でできていなかった。だけど今日に関しては、なんのプレッシャーも感じずに、同じ目線でプレーできていた」
 
 いくつかのデータでは、川崎を上回った。ポゼッションをはじめ、パス成功率、クロス数、デュエル勝率はいずれも横浜に軍配。「正直、もっともっとできたと思う」という天野の言葉もうなずける。川崎は中村憲剛、小林悠が途中出場で、大島僚太も負傷欠場と、何人かの主力を欠いていたのは差し引いて考えなければならない。だが横浜も、川崎から期限付き移籍中の攻撃のキーマン三好康児を契約の関係で起用できず、左SBのレギュラー高野遼は怪我のため出場できなかった。お互いにベストメンバーではなかったなかで、横浜のパフォーマンスは高く評価できるものだった。
 
 難敵を相手にしても、自分たちのサッカーを存分に表現できた理由については、「積み上げてきたものの自信、自分たちのテンポでやったら絶対に相手はついてこれないっていう自信。そこかな。チームのみんなからそのオーラが出てきている。一緒にやっていて頼もしい」と、今季から背番号10を背負うレフティは力強く言う。
 
 その自信はさらに深まったはずだ。こうした積み重ねで、チームはさらに進化していく。「次の対戦がすごく楽しみ」。川崎とのリーグでの再戦は、11月30日の33節。自分たちのタイトルを左右するアウェーゲームで、鮮やかな勝利を掴み取る――そんな姿を今から楽しみに待ちたい。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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