「最悪な初戦」浦和戦で完敗のブリーラムにタイ・メディアは失望感を隠せず、剛腕オーナー夫婦も厳しい表情…

2019年03月08日 佐々木裕介

11年間で7度国内リーグを優勝した“王者”が良いところなく敗戦

再び日本のピッチに姿を見せたペドロ・ジュニオール。ブリーラム・Uの攻撃を牽引したが、ゴールは割れず。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

『赤き血のイレ~ブン、ララ~ラ浦和レッ~ズ、世界に見せつけろ~俺達の誇り~』
 
 キックオフ45分前、浦和ファンがスタジアムに轟かせたチャントだ。亜冠奪還を宣言する所信表明の如く、彼らの本気度が表われたACL出陣の合図だったに違いない。
 
 かたやタイから唯一の本選出場となった昨季リーグ覇者、ブリーラム・ユナイテッド。国内は何処へでもバス数十台で押し寄せ、組織的且つ迫力ある応援を繰り広げる名物サポーターも、この日は100名程だっただろうか。この両スタンド温度差が反映された試合となった。
 
 今季、即戦力のひとりとして期待されブリーラム・Uに加入した細貝萌。2007年に浦和でACLを獲った歴史を持つ"主役"の凱旋は怪我の影響で実らなかった。しかし前日にタイサッカー協会が発表した3月Aマッチ招集候補メンバー(チャイナカップへ出場/中国・南寧)5人がスタメンに名を連ね、また日本で通算178試合出場の記録を持つペドロ・ジュニオールが前線に張った布陣で挑んだ試合は、開始早々から浦和に攻め込まれるものの、ベネズエラ人キャプテン、アンドレス・トゥニェスを軸にタイ代表で固めた5バックが落ち着いた守りで対応し崩させなかった。
 
 しかし後半開始早々に試合は動く。50分、CKから槙野智章がヘディングで合わせて浦和が均衡を破ると、75分と88分には橋岡大樹のゴールで3-0。"ホーム"浦和が初戦を貫禄勝ちで飾ってみせた。
 
『戦えなかった。ACL初戦は浦和に完敗』【サイアム・スポーツ】
『9人のタイ人選手だけでは、浦和の脅威にはなれなかった』【Goal.comタイランド】
『最悪な初戦。"最強"浦和レッズに0-3で屈した』【SMMスポーツ】
 
 試合後の各社タイ・メディアの見出しは、こぞって失望感を漂わせるものばかりが並んだ。それはそうだろう、この11年の間で実に7度の優勝を勝ち得てきた"王者"が良いところなく完敗したのだから。
 
 同日裏開催となったルヴァンカップ。横浜F・マリノス対北海道コンサドーレ札幌の試合で、怪我から復帰し加入後初出場を飾ったタイ代表DFティーラトン・ブンマタンがニュースフィールドを駆けたことは想像に容易いだろう。
 

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