「冨安選手を越えたい」福岡の歴史に名を刻んだ三國ケネディエブスが背負う期待と重責

2019年03月07日 中倉一志

1-3で敗れた開幕戦は、「プロの厳しさを痛感させられた」

開幕から2試合連続でスタメン出場を果たした三國。緊張もほぐれた2節の長崎戦では、「集中力も上がり、非常にいいプレーができた」と手応えを得ていた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 2019年2月24日。三國ケネディエブスにとっては忘れられない日になった。
 
 高卒ルーキーとしてJリーグ開幕戦のスターティングメンバーに名を連ねるのは、アビスパ福岡の歴史で初めてのこと。その名誉を胸に、プロの世界でも存在感を見せるという気持ちでピッチに立ったはずだった。だが、緊張のあまり身体が動かない。相手が仕掛けてくる駆け引きに対応ができない。対峙するFWを潰せなかったばかりか、競り合うことさえも許してもらえなかった。そして福岡は1-3で敗れた。
 
「プロの厳しさを痛感させられた。まだまだプロには通用しないと感じた」
 
 自分の甘さが身に染みた。
 
 だが、へこたれていたわけではなかった。報道陣に囲まれるなか、三國は続けた。
 
「でも、非常に良いスタートが切れたと思う。試合に負けたという経験、自分のプレーがダメだったという経験を、今後のプレーに生かせるから。自分は前向きに捉えたい」
 
 常に前向きの姿勢を崩さず、すべてをポジティブに捉える。それは子どもの頃から貫いてきた姿勢だ。
 
 そして迎えた2節のホーム開幕戦。三國は再びスターティングメンバーに名を連ねた。
 

「開幕戦で、ファビオ(・ペッキア)監督から『何のためにお前を使っているか分かっているのか。俺は自信をもって送り出しているんだ』と言われた。あれでスイッチが入った」
 
 開幕戦の時のような緊張感は感じられない。優位に立った前半は相手に何もさせず。一進一退の展開となった後半も得点を許さなかった。0-0の引き分けでチームの勝利はお預けになったが、ディフェンスとしての役割は果たした。
 
「前節との違いはメンタルの部分。もっと強気にやろうと思ってプレーしていた。開幕戦は、緊張していて集中力に欠け、やるべきことが全然できていなかったが、今日は集中力も上がり、非常にいいプレーができた」
 
 チームメイトに支えられ、サポーターの声援に後押しされての無失点ゲームだったが、高卒ルーキーとしては十分すぎる出来。三國のプロ人生は順調にスタートしたと言えるだろう。

次ページ求められているのは高卒ルーキーとして活躍することではなく…

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