【現地発】名手マルセロから定位置奪取の22歳DFをかつての恩師が絶賛 「なんでも吸収するスポンジのようだった」

2019年03月07日 エル・パイス紙

レンタル先のログロニェスで成長。

マドリーの左サイドでコンビを組む18歳のヴィニシウス(左)と22歳のレギロン(右)。(C)Getty Images

 今シーズン、レアル・マドリーでブレイクを遂げている22歳の左サイドバック、セルヒオ・レギロンは、まさしく叩き上げのカンテラーノだ。

 8歳でマドリーのカンテラに入団し、そこから一つひとつ順調にカテゴリーを上げていったレギロンは、2015年、ついにマドリーのBチームに昇格。だが同年8月、ジネディーヌ・ジダンをはじめとする当時の首脳陣に、トップでプレーするのは時期尚早と判断され、2部Bリーグに所属するログロニェスへレンタルに出された。

 そして結果的に、この移籍がレギロンを大きく成長させることとなった。当時のログロニェスの監督、カルロス・ポウソは、レギロンを一目見て、「将来1部でプレーできる器」だと確信したという。

「スピード、スタミナ、しなやかさ。彼にはそのすべてが備わっていた。やや力強さには欠けていたが、それもいまは手にしている。テクニックにも優れ、周囲とのパス交換で攻め上がり、高精度のクロスを配給していたものだよ」
 
 さらにポウソがなににも増して称賛するのは、その向上心の高さだ。

「まさに、なんでも吸収するスポンジのようだった。こちらが課題を指摘するのをいつも待っていた。分からないことは納得するまで質問攻めにしてきてね。しかもマドリーには、マルセロという格好のお手本がいる。これからも彼は、この世界最高のサイドバックからいろんなことを吸収し、成長していくだろう」

 40歳になったいまでもログロニェスで現役を続けるセサル・カネダも、ポウソに同調する。「マドリーのようなエリートクラブ出身の若手は、自分を過大評価している選手が少なくない。でもセルヒオ(レギロン)は、目的意識の持ち方が違っていた。何事にもつねに高い学習意欲を持って取り組んでいた」

 ログロニェスではスピードを活かしてスペースに飛び出す攻撃センスが評価され、インテリオールとしても多くの試合に出場したが、同時にタフな2部Bリーグだからこその局面での守備の厳しさも学んでいった。

 ポウソは回顧する。「2部Bリーグには、それこそ生活をかけて試合に臨む選手だって数多くいる。ずっと年上のウイングがゴール前で猛然とドリブルを仕掛けてくるんだ。でもレギロンは、そうしたカテゴリーの違いをしっかり理解してプレーしていた」

 カネダは今後のさらなる活躍にも太鼓判を押す。

「セルヒオは自分のプレーに絶対の自信を持っている。これからさらに期待が高まるだろうけど、それを意気に感じてチャレンジしつづけることができるはずだ。彼はそうやって一つひとつステップアップを遂げてきた男だからね」

 22年間に及ぶ選手生活の中で、計13チームに在籍し、1部、2部、2部Bを合わせて700試合以上に出場し、さまざまな選手を観察してきたカネダの言葉には、それだけ含蓄と説得力がある。その大ベテランのお墨付きを得てログロニェスで培った叩き上げの精神は、これからもレギロンの大きな武器になっていくはずだ。

文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙/マドリー番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
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