【現地発】メッシに劣らぬ存在感! ラ・リーガで全試合フル出場中のピケもまた、バルサに不可欠な“ヘニオ”だ

2019年03月07日 エル・パイス紙

歯に衣着せぬ発言も健在。

先日のクラシコでも、ピケはパートナーのラングレとともに好プレーを披露。マドリーの攻撃をシャットアウトした。(C)Getty Images

 長年バルセロナの黄金時代を支えてきたのは、シャビであり、アンドレス・イニエスタであり、いまも異次元のプレーを連発するリオネル・メッシであった。

 しかし昨夏、シャビに続いてイニエスタが退団。セルヒオ・ブスケッツが中盤に君臨しつづけているとはいえ、近年はジョゼップ・グアルディオラが監督だった頃に築いた、マシアのDNA全開のパスサッカーに陰りが見え、いまやバルサはメッシそのものと言っても過言ではない状況になっている。

 そんななか、独自性を発揮し、チームを支えてきた選手がいる。ジェラール・ピケだ。ペップの後を継いでバルサを率いたいまは亡きティト・ビラノバに、「ピケがいなければ、チームのプロジェクトそのものが頓挫してしまう」とまで言わしめた男は、今シーズンも最終ラインの要として大車輪の活躍を披露している。

 26節まで消化したラ・リーガにおいて、フィールドプレーヤーではただひとり全試合フル出場を続けているピケ。24節のバジャドリー戦で唯一のゴールとなるPKをゲットしたように(バルサが1-0で勝利)、攻撃面での貢献も目覚ましく、すべてのコンペティションを通して5得点を挙げている。
 
 歯に衣着せぬ発言も健在で、そのバジャドリー戦後には、「僕らは良いプレーができなかった。もっとパススピードを上げて、攻撃の流れを良くし、ポゼッションの精度を高めなければいけない」と、隠し立てせずに低調な試合だったことを素直に認めた。そうした実直な人柄は誰もが認めるところで、エルネスト・バルベルデ監督もその発言を咎めることはなかった。

 良くも悪くも注目を集めてしまうのがピケという人間だ。ただそれも、どんなことにも正面から立ち向かう反骨精神旺盛な異端児のなせる業でもある。さらに第3キャプテンに就任した今シーズンは、責任感が一層増した印象で、みずからを厳しく律しながらチームのために身を粉にして働き続けている。

 そんなフォア・ザ・チームの姿勢が評価され、ピッチ外でのビジネス活動を揶揄する声も最近はほぼ聞かれなくなった。

 サッカーも人生も満喫するピケは、形式的な価値観にとらわれることなくバルセロニスモを体現しつづけている。シャビ、イニエスタ、メッシとはまたタイプは異なるが、ピケもまたバルサの黄金時代を語るうえで欠かせない"ヘニオ"(スペイン語で天才の意)のひとりなのである。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙・バルサ番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
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