【清水】敗戦のなかで新戦力が放った輝き! 新たなる攻撃の核、中村慶太の存在感

2019年03月03日 前島芳雄

先制点に加え、得意のドリブルを交えながら効果的なサイドチェンジのパスも

2節・G大阪戦で移籍後初ゴールをマークした中村。攻撃の核として期待される存在だ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ2節]清水2-4G大阪/3月2日/アイスタ
 
 清水エスパルスにとって今節は「トップ5」入りを狙うシーズンの大事なホーム開幕戦だったが、結果は4失点の大敗。昨季からのテコ入れを図って補強もした守備が大崩れした光景は、楽しみにしていたサポーターを落胆させた。
 
 ただ、失点は個人的なミスによるものが多く、組織が崩壊したわけではない。新助っ人のヴァンデルソンが大きなミスでリズムを崩したのは痛いが、経験のある選手だけに今後立て直せる可能性も高く、次節以降のプレーに注目したい。また、キャプテンの竹内涼が体調不良で欠場し、急きょ六平光成がリーグ戦では1年半ぶりの出場となったのも想定外の要素だった。
 
 そうしたマイナス面を差し引くと、60分に北川航也が見事な切り返しで決定機を作ったシーンあたりまでは、チームとしてやりたいサッカーを表現できていた。なかでも、とくに輝きを放ったのが、今季長崎から移籍してきた中村慶太だ。
 
 今節は、広島戦の3-4-2-1から3-5-2(中盤はアンカーを置く逆三角形)にシステムを変え、中村は北川と2トップを組んで開幕から2戦連続の先発出場。2トップは慣れた形ではないが、北川との距離感を意識しながら少し下がってボールに絡むシーンも多く作り、得意のドリブルを交えながら効果的なサイドチェンジを連発した。
 
 17分の先制点のシーンも、中村が2回右サイドのスペースに展開したうえで立田悠悟の折り返しを自ら決めた形。ニアでつぶれた北川とのバランスも良く、ホームの清水サポーターに鮮烈な印象を残す移籍後初ゴールを決めた。
 
「うまくサイドに展開できて、相手がボールウォッチャーになっているところにうまく入り込めた。(北川)航也が前で少し触ってくれてコースが変わって、それにうまく合わせることができて良かったです」と、本人にとっても非常に価値のあるゴールシーンを振り返る。
 
 一般的にドリブラーといえば、視野が狭くなりがちで球離れも遅くなりやすいイメージがあるが、中村にはそれがまったく当てはまらない。「キックは中学の頃(ARTISTA FC)から細かく指導してもらってきたので、長いキックにも自信も持ってます」という言葉は、広島戦でのバー直撃の強烈なFKで証明済み。
 
 さらに今節は「先週と違って相手が同サイドに人数をかけてきていたので、逆が空くなというのは見えていました」という言葉通り、タイミングの良いサイドチェンジで何度もチャンスにつなげ、スタンドを沸かせた。
 

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