【広島】見失ったエースの活用法……新システム&戦術でパトリックをどう使うべきか

2019年03月02日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「パトの特徴を考えたりすると…」

磐田戦で今季初スタメンとなったがパトリックだが、ノーゴールに終わった。写真:徳原隆元

[J1リーグ2節]広島0-0磐田/3月1日/Eスタ 

 昨季、リーグ2位の20得点を決めたパトリックが、18年9月22日のFC東京戦(△1-1)を最後にゴールから見放されている。今季初スタメンとなった磐田戦も得点はなく、スコアレスドローに終わった。
 
 4-4-2のシステムによる堅守速攻のなかで、フィジカルとスピードを駆使して得点を量産した昨季前半戦のような姿は、昨季の終盤から影を潜めていた。パトリックのゴールが止まった原因はコンディションが万全ではないことや、チームの低迷などが挙げられる。そして、失速を受けて昨季最終節・札幌戦(△2-2)から3-4-2-1にシステムを変更し、パスを主体にした現在のサッカーのなかで、ゴールの気配はより薄くなった。
 
 城福浩監督は「サッカーの進め方の志向を変えた状態で、勝点を積み重ねるには辛抱しないといけない」と、ボールを保持するサッカーを継続する意思を示している。では、今の3-4-2-1の1トップで、パトリックをどう活かすべきだろうか。ボランチで先発した川辺駿は次のように語る。
 
「パト(リック)の特徴を考えたりすると、やっぱり縦に速くというようになると思います。それは相手によって変えないといけないですが、(パトリックの)良さを活かすにはスピードを活かす選択肢もあります」

 川辺が言うように、縦に速い攻め方もある。実際、磐田戦もパトリックが裏に抜けるシーンは何度かあり、そこから相手を押し込んだ。ただ、昨季と決定的に違うのは、その一発で仕留めきれない点である。
 
 仮に2次攻撃をできたとしても、スペースはなくなっており、パトリックはゴール前で待ち構える形になる。そこで重要になるのが、シャドーだ。野津田岳人は言う。
 
「パトに入った時に回りをウロチョロしておけばこぼれてくる感覚はありました。(そこで)もっともっと合わせていきたいと思いますし、もっと良くなる感覚はあるので、自分のポジションも意識してくれていますし、そこはもっと合わせたいです」
 
 パトリックの得点力が落ちたとしても、強靭な身体を活かしたポストプレーは健在だ。そして、左サイドには柏好文、右サイドにはエミル・サロモンソンという高精度のクロスを上げられるウイングバックもいる。彼らのボールから強力ブラジリアンのポストワークで、野津田や柴﨑晃誠のシャドーがチャンスに絡むこともできるだろう。
 
 いずれにせよ、縦に速い攻撃で相手を押し込む際も、ウイングバックのクロスを使って攻め込む時も、起点になるのはパトリックだ。新システムでの連係構築には時間がかかっているようだが、「辛抱」した先には昨季以上のゴール量産があるかもしれない。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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